迷ったら、まず1本だけ再生してみる
自分でやるか業者に出すかは、値段では決まりません。決め手はテープの状態と本数、そして「かかる時間」です。そして最初にやるべきは見積もりを取ることではなく、1本再生して状態を確かめることです。
かかる時間を先に出す
自分でやる場合、ダビングは実時間かかります。2時間のテープなら、変換に2時間。早送りはできません。ここを見積もらないまま始めると、途中で止まります。
自分でやる場合の所要時間
- ① 本数 × 1本の収録時間実際に映っている時間ではなく、テープの長さで見る
- ② 機材の準備と設定初回は接続・ソフトの設定で時間がかかる
- ③ 1本ごとの入替と確認頭出し、録画開始、終了確認。1本あたり数分
- ④ ファイルの整理と書き出し名前つけ、変換、保存先への複製
① + ② + ③ + ④ が総時間です。30本 × 2時間なら、変換だけで60時間。ここが判断の中心になります。
「安いから自分でやる」という判断は、この時間を無償と見なしています。60時間を何に使うかを考えたうえで決めてください。
分岐の判断表
どちらを選ぶか
| 条件 | 自分でやる | 業者に出す |
|---|---|---|
| 本数が少ない(数本) | 向いている | 1本あたりの単価が割高になることがある |
| 本数が多い(数十本以上) | 時間が現実的でない | 向いている |
| 再生できるデッキがある | 前提を満たしている | — |
| 再生機がない | 機材の入手から必要 | 向いている |
| テープにカビ・変形がある | 再生機を壊す危険がある | クリーニング対応の有無を確認して依頼 |
| 中身が何か分からない | 確認しながら進められる | 先に自分で確認したほうが無駄が減る |
| 急いでいない | 少しずつ進められる | 納期を確認 |
| 原本を手元に置きたい | 手元にある | 返却の有無を確認 |
「再生機があるか」と「テープの状態」の2つで、ほとんどの場合は決まります。
テープの状態を先に見る
見積もりより先に、手元のテープを1本だけ再生してみてください。その1本で分かることが多くあります。
再生する前に外から見て分かること
- 白い粉・斑点:カビの可能性。そのまま再生すると再生機の内部を汚します
- テープのたるみ・巻きの乱れ:走行中に引っかかる可能性
- ケースの割れ・変形:内部の部品が歪んでいることがある
- べたつき:加水分解が進んでいる兆候
- においの変化:酸っぱいにおいは劣化のサイン
- ラベルの記載:中身が分かれば、優先順位をつけられる
再生して「映像が乱れる」「音が出ない」「途中で止まる」のいずれかが出たら、自分での作業は難しい状態です。無理に続けると、テープ側も再生機側も傷みます。
再生機を壊す条件
テープをデジタル化する作業で、いちばん取り返しがつかないのは再生機が壊れることです。デッキは新品での入手が難しくなっており、壊れると代わりが利きません。
こうなると危ない
カビの生えたテープをそのまま入れる
べたついたテープを走らせる
長時間連続で回し続ける
何十年も動かしていないデッキでいきなり本番のテープを再生する
業者に出す場合の対応メディアと料金を確認する
対応しているメディアの種類、納期、保存形式は公式サイトに記載があります。依頼前に確認してください。
- 料金・納期は各社公式サイトの公表値です
- 対応メディアは事業者により異なります
- 仕様は変更されることがあります
業者に出すときの確認
依頼前に確認する項目
| 項目 | 確認すること | 確認しないとどうなるか |
|---|---|---|
| 対応メディア | VHS/8mm/MiniDV/Hi8 など、手元のものに対応しているか | 送ってから対応外と分かる |
| 保存形式 | DVDか、データファイルか。ファイルなら形式と受け取り方 | 再生できない形式で返ってくる |
| 原本の返却 | テープを返してもらえるか、処分してもらうか | 手元から永久になくなる |
| カビ・劣化への対応 | クリーニングを行うか、追加料金か、断られるか | 受付後に断られて往復の送料だけかかる |
| 映らなかった場合の扱い | 料金が発生するか | 作業できなくても課金されることがある |
| 納期 | 何週間か。繁忙期に延びるか | 必要な時期に間に合わない |
| 1本の上限時間 | 長時間テープが分割されるか | 1本が複数に分かれて構成が崩れる |
| 個人情報・映像の扱い | 作業後にデータを消去するか | 手元を離れた映像の行方が分からない |
「映らなかった場合の扱い」と「原本の返却」は、依頼後には変えられません。先に聞いてください。
送る前にやること
- ① 一覧を作る本数と、分かる範囲の中身を書き出す。返ってきたときの照合に使う。
- ② ラベルを付け直す剥がれかけたラベルは書き直す。取り違えを防ぐ。
- ③ 状態を写真に撮るカビや変形がある場合、送る前の状態を残す。
- ④ 優先順位をつける全部を一度に出さず、まず数本で仕上がりを確かめる方法もある。
- ⑤ 梱包するテープは衝撃と湿気に弱い。緩衝材と防湿を意識する。
業者に出せないもの
すべてのテープをダビングしてもらえるわけではありません。市販・レンタルのビデオソフトや、テレビ番組を録画したものは、複製を業者に依頼できないのが原則です。
著作権法は、私的使用のための複製を一定の範囲で認めていますが、その複製を「使用する本人が行う」ことが前提とされています。第三者である業者に複製を依頼する形は、この範囲から外れると解されています。
依頼できるか
| テープの中身 | 依頼 | 理由 |
|---|---|---|
| 自分や家族が撮影したホームビデオ | 依頼できる | 自分が著作者にあたる |
| 結婚式などで業者に撮影してもらったもの | 確認が必要 | 撮影した事業者に権利がある場合がある |
| 市販・レンタルのビデオソフト | 依頼できない | 私的複製の範囲外 |
| テレビ番組を録画したもの | 依頼できない | 同上 |
| 学校行事を保護者が撮影したもの | 依頼できる | 撮影者本人であれば |
業者は受付時に中身を確認します。断られた場合、往復の送料だけがかかることがあります。先に仕分けてください。
どれから手をつけるか
本数が多いと、全部やろうとして止まります。順番を決めてください。
優先順位のつけ方
- ① 状態が悪いものを先に劣化は進みます。待つほど救えなくなる。
- ② 中身が分かっていて、大事なものを次に何が映っているか分かるものから。
- ③ 中身が分からないものは、まず確認だけ全部をデジタル化する前に、要るものを絞る。
- ④ 明らかに不要なものは対象から外すテレビ番組の録画などは、そもそも依頼できない。
仕分けの具体的な手順は仕分けの手順に、写真とネガの扱いは写真とネガの扱いにまとめています。
よくある失敗
いちばん大事なテープを最初に再生する
機材の状態が分からないうちに入れないでください。
カビのあるテープをそのまま再生する
ヘッドが汚れ、以降のテープすべてに影響します。
実時間かかることを見積もっていない
30本なら変換だけで数十時間です。時間を先に出してください。
原本の返却を確認せずに送る
処分される場合があります。返却の有無は先に確認してください。
市販ソフトやテレビ録画を一緒に送る
受け付けられません。往復の送料が無駄になります。
保存先を1か所しか用意しない
デジタル化したあとのデータも、失われることがあります。複数に保存してください。
よくある疑問
よくある疑問
再生できるデッキがもう手に入りませんか。
カビが生えたテープはもう無理ですか。
DVDとデータファイル、どちらで受け取るべきですか。
デジタル化したあとのデータはどう保存すればよいですか。
テープの寿命はどのくらいですか。
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一次情報の確認先
本ページの前提となる制度・統計は、以下の公的機関等の公表情報で確認できます。最新の内容は必ず各機関の公式ページでご確認ください。