消すのは、渡す前に自分で
パソコンを手放すとき、いちばん取り返しがつかないのがデータです。メーカー回収でも、自治体の回収ボックスでも、データ消去は利用者が行う前提になっています。「向こうで消してくれる」と思って渡すと、確かめる手段がありません。
誰の責任か
回収の仕組みは「資源として再資源化すること」を目的にしています。データの保護は、その目的の中に含まれていません。
だから、データをどうするかは持ち主が決めることになります。回収業者やメーカーがデータ消去を保証する契約になっているかどうかは、その事業者の説明を確認してください。「たぶん消してくれるだろう」で渡さないでください。
個人情報の取り扱いについては、個人情報保護委員会が制度の説明を公開しています。事業として個人情報を扱う場合は、事業者としての義務がかかります。家庭のパソコンでも、家族や仕事関係の情報が入っていれば、実害の大きさは変わりません。
何が残っているか
「大事なファイルは消した」と思っていても、残るものがあります。
見落とされやすいもの
- ブラウザに保存したパスワードとクレジットカード情報
- メールソフトの受信箱と送信箱
- クラウドサービスのログイン状態(自動ログイン)
- 写真アプリのキャッシュ、サムネイル
- ダウンロードフォルダの中身
- ごみ箱に入れたまま空にしていないファイル
- 以前使っていた別ユーザーのアカウント
- 外付けHDDやSDカードを挿したままにしている
とくにブラウザの保存パスワードは見落とされます。ログイン状態が残っていると、次に電源を入れた人がそのままサービスに入れてしまいます。
消し方の考え方
方法はいくつかありますが、「削除」と「初期化」と「消去」は別物だと理解しておいてください。
よく混同される3つ
| やること | 何が起きるか | 十分か |
|---|---|---|
| ファイルを削除する/ごみ箱を空にする | 見えなくなるだけ | 不十分 |
| OS の初期化(リセット) | 設定とデータが消える。オプションで消去の程度を選べることがある | 選んだ設定による |
| ドライブ全体を消去する | 記録領域を上書き・消去する | 方式による |
| 物理的に壊す | ドライブを取り出して破壊する | 確実だが自分で行う場合は安全に注意 |
どの方法を選ぶかは、入っていた情報の重さで決めてください。仕事や他人の情報が入っていたなら、より確実な方法を選んでください。
OS の初期化には、「データを消去する」オプションが用意されていることがあります。時間はかかりますが、単なる初期化より確実です。時間に余裕を持って始めてください。
機器の種類で変わること
ドライブの種類で違う
自分の機器がどれかは、型番からメーカーの仕様で確認できます。
HDD(ハードディスク)
SSD
eMMC(本体一体型)
暗号化されている
起動しないパソコン
いちばん困るのがここです。起動しなければ、画面から消去できません。
起動しない場合の選択肢
- まず本当に起動しないか確かめる電源、ケーブル、バッテリー。周辺機器を全部外して試すと起動することがあります。
- ドライブを取り出せる機種か調べるデスクトップと一部のノートは取り出せます。型番で確認してください。
- 取り出せるなら、ドライブだけ手元に残す本体だけ回収に出し、ドライブは自分で保管または破壊する。これが確実です。
- 取り出せないなら、事業者の説明を確認するデータ消去を行う事業者か、その方法と証明の有無を聞いてください。
- どうしても不安なら、手元に置いておく急いで手放す必要はありません。電池が膨らんでいなければ、保管は選択肢です。
ドライブだけ抜いて本体を出す——これがいちばん確実で、費用もかかりません。回収の対象は本体なので、ドライブが無くても受け付けられるのが一般的です。念のため申込時に確認してください。
買取に出す場合
買取業者に売る場合も、消去の責任は自分にあると考えてください。「業者が消してくれる」と説明されても、何をどう消すのか、証明は出るのかを聞いてください。
そして買取には別の制度も関わります。自宅に来てもらう買取と店舗買取では、法律の守り方が違います。自宅と店舗で守り方が逆になるにまとめました。
確認の順序
手放す前にやること
- 必要なデータをバックアップする(先にこれ)
- クラウドサービスからサインアウトする
- ブラウザの保存パスワードを削除する
- 外付けHDD・SDカード・USBメモリを抜く
- OS の初期化で「データを消去する」を選ぶ
- 起動しないなら、ドライブを取り出せるか調べる
- 取り出したドライブは自分で保管または破壊する
- そのうえで回収に出す
→ パソコンは家電リサイクル法の対象外/PCリサイクルマークがあれば無料/メーカーが分からない・無くなった/自治体の回収ボックスを使う/データ消去は誰がやるか/処分と買い替えの順序
次の一台に、データを移してから手放す
12カ月保証付きの中古パソコンです。新しい環境を先に用意しておくと、落ち着いてデータを移せます。在庫と仕様は公式サイトで確認できます。
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確認に使った一次情報
- 一般社団法人 パソコン3R推進協会「PCリサイクルマークについて」pc3r.jp
- 同「リサイクルの手順」pc3r.jp
- 環境省「家電リサイクル法の概要」env.go.jp
- 一般財団法人 家電製品協会「なぜ家電リサイクル法の対象は4品目だけなの?」aeha-kadenrecycle.com
- 個人情報保護委員会ppc.go.jp
よくある疑問
初期化すれば十分ですか。
消去ソフトを使うべきですか。
ドライブを抜いて出しても回収してもらえますか。
ハンマーで壊してもよいですか。
業者にデータ消去を頼めますか。
会社のパソコンはどうすればよいですか。
家庭のパソコン処分ガイドの記事一覧
一次情報の確認先
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