契約書に書いてあれば、それで決まるのか
「契約書に害虫駆除は借主負担と書いてあります」と言われることがあります。書いてあることと、有効であることは別です。国土交通省のガイドラインは、借主に通常より重い負担を課す特約について、3つの要件を示しています。まず契約書を読み、次にその条項が要件を満たすかを見ます。
契約書のどこを見るか
害虫・害獣に関わる可能性がある条項
- 修繕に関する条項(小修繕の負担、修繕の申し出の方法)
- 費用負担に関する条項(借主が負担するものの一覧)
- 禁止事項(改造、穴あけ、動物の飼育など)
- 通知義務に関する条項(異常を見つけたときの連絡義務)
- 原状回復に関する条項
- 特約(本文とは別に、末尾にまとめられていることが多い)
「特約」は契約書の最後にあることが多く、読み飛ばされます。本文と特約で書いてあることが違う場合もあるので、両方を見てください。
使われている言葉
害虫駆除がそのままの言葉で書かれているとは限りません。次のような言い回しで含まれていることがあります。
見落としやすい言い回し
| 書き方 | 何を指しているか |
|---|---|
| 小修繕は借主の負担とする | 金額や範囲の定義がないと、どこまでかが争いになります |
| 消耗品の交換および軽微な修理 | 害虫駆除が含まれるかは解釈の問題になります |
| 善良な管理者の注意をもって使用する | 民法第400条の善管注意義務を確認する条項 |
| 異常を発見したときは直ちに通知する | 通知義務。放置すると不利になる根拠になります |
| 害虫の駆除は借主が行う | 明示されている場合。特約の要件を満たすかを見ます |
「小修繕」の範囲が定義されていない契約書は多くあります。定義がないこと自体が、確認すべき点です。
作業の範囲と費用の目安を調べる
負担の話が決まったあとの手配に使えます。内容は各社の公式サイトでご確認ください。
- 費用・対応エリア・保証内容は各社公式サイトでご確認ください
- 作業の可否は建物と契約内容によります
- 費用の負担者は賃貸借契約の内容によります
特約の3要件
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」は、借主に通常より重い負担を課す特約について、次の3つの要件を示しています。
→ 図は横にスクロールできます
- 客観的・合理的理由があり、暴利的でないなぜその負担を借主に求めるのか、理由があること。
- 借主がその内容を認識している説明を受け、内容を理解していること。
- 借主が負担する意思を表示しているそのうえで、負う意思を示していること。
3つとも必要とされています。1つでも欠ければ、その特約の有効性は問題になりえます。
このガイドラインは原状回復について書かれたものです。害虫駆除の特約に直接あてはめられるとは限りません。ただし「書いてあれば何でも有効ではない」という考え方は、契約書を読むときの視点になります。
「借主負担」と書いてあっても
特約があっても、その特約が想定していない状況では話が変わりえます。
特約があっても確認すること
建物の構造に原因がある場合
共用部が発生源の場合
入居前から発生していた場合
説明を受けていない場合
いずれも「だから払わなくてよい」という結論ではありません。確認する余地がある、という意味です。金額が大きい場合は消費生活センターにご相談ください。
入居前に確認できること
すでに住んでいる場合には使えませんが、これから借りる場合は先に聞けます。
内見・契約前に聞くこと
- 害虫・害獣が出た場合の費用負担はどうなるか
- 過去に発生の報告があったか
- 共用部(ゴミ置き場、配管スペース)の管理はどうなっているか
- 定期的な消毒や点検を行っているか
- 「小修繕」の範囲は何を指すか
- 入居時の状態を記録に残せるか(写真を撮ってよいか)
最後の項目は特に効きます。入居時の状態を写真で残しておくと、退去時にも使えます。退去時の扱いで扱います。
つまずくところ
特約を読まない
契約書の末尾にまとめられていることが多く、読み飛ばされます。
「書いてあるから」で諦める
国土交通省のガイドラインは、特約に3つの要件を示しています。
「小修繕」の範囲を確認しない
定義がない契約書は多くあります。範囲が争いになります。
入居時の状態を記録しない
入居前からの問題かどうかを示す材料がなくなります。
自分で法的な結論を出す
有効性の判断は事実関係によります。迷う場合は相談してください。
よくある疑問
契約書に借主負担と書いてあれば従うしかないですか。
特約の3要件とは何ですか。
「小修繕」に害虫駆除は含まれますか。
入居前から出ていた場合はどうなりますか。
どこに相談すればよいですか。
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一次情報の確認先
本ページの前提となる制度・統計は、以下の公的機関等の公表情報で確認できます。最新の内容は必ず各機関の公式ページでご確認ください。