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通常の使用で生じたものは、賃料に含まれている

退去のときに、害虫・害獣に関する費用を求められることがあります。判断の出発点は国土交通省のガイドラインです。原状回復とは「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」とされています。つまり通常の使用の範囲で生じたものは、原状回復の対象ではありません。

このページの内容
  1. 原状回復の定義
  2. 経年変化・通常損耗
  3. 特約がある場合
  4. 害虫・害獣で問題になる場面
  5. 退去前にやること
  6. 話がまとまらないとき
  7. つまずくところ
  8. よくある疑問

原状回復の定義

賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること

国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(再改訂版)

この定義を分けて読む

部分意味
賃借人の故意・過失わざと、または不注意で生じさせたもの
善管注意義務違反通常求められる注意を怠ったことによるもの
通常の使用を超えるような使用普通の住み方の範囲を超えた使い方
復旧することこの3つに当たるものを元に戻すのが原状回復

裏を返すと、この3つに当たらないものは原状回復の対象ではない、という構造になります。

経年変化・通常損耗

ガイドラインは経年変化と通常損耗については賃借人の負担ではないとしています。理由も示されています——それらは賃料に含まれているという考え方です。

害虫・害獣に当てはめると、次のように整理できます。

整理の方向

建物の構造上のすき間から入ってきた

住み方の問題ではありません。通常の使用の範囲にあたりうる状況です。

共用部が発生源だった

専有部分の使い方の問題ではありません。

入居時からすでにいた

居住により発生したものではありません。

生ゴミを長期間放置していた

善管注意義務に関わりうる状況です。

気づいたのに伝えず、被害が広がった

同上。早めに伝えておく理由がここにあります。

だから入居中の「伝えた記録」が、退去時にも効きます。伝えていれば、放置していないことを示せます。管理会社への連絡で記録の残し方を扱っています。

退去前に状態を確認しておく

退去時の話し合いの材料になります。作業範囲・費用は各社の公式サイトでご確認ください。

掲載内容は各社公式サイトの公表値です。効果には個人差があります。広告(PR)を含みます。

特約がある場合

「退去時に消毒費用を負担する」といった特約が置かれていることがあります。ガイドラインは、借主に通常より重い負担を課す特約について3つの要件を示しています。

特約の3要件
特約の3要件契約書の読み方は別ページで扱います。客観的・合理的理由があり、暴利的でない借主がその内容を認識している借主が負担する意思を表示している

→ 図は横にスクロールできます

  1. 客観的・合理的理由があり、暴利的でないなぜその負担を求めるのか、理由があること。
  2. 借主がその内容を認識している説明を受け、内容を理解していること。
  3. 借主が負担する意思を表示しているそのうえで、負う意思を示していること。

3つとも必要とされています。契約書に書いてあるだけでは足りません。

契約書の見方は契約書の読み方にまとめています。

害虫・害獣で問題になる場面

退去時に出てくる項目と、確認する点

請求される項目確認する点
室内消毒費用特約があるか。3要件を満たすか。金額の根拠は示されるか
害虫駆除費用入居中に発生し、伝えていたか。原因は何とされているか
フンや汚れの清掃費用通常清掃の範囲か、それを超えるか
部材の交換費用被害の原因が何か。経年変化との切り分けはされているか
消臭費用原因と、通常の使用を超えるかどうか

いずれも「請求されたら払う」ではなく、根拠を確認する余地があります。

退去前にやること

退去が決まってからの順番

  1. ① 入居時の記録を探す入居時に撮った写真、チェックリスト、引き渡し時の書類。
  2. ② 入居中のやりとりを整理するいつ何を伝え、どう対応されたか。
  3. ③ 契約書の特約を読み直す退去時の費用に関する条項があるか。
  4. ④ 退去前に自分で写真を撮る立ち会いの前に、部屋全体と気になる箇所を記録します。
  5. ⑤ 立ち会いに同席するその場で言われた内容をメモします。
  6. ⑥ 見積りを書面でもらう内訳が分かる形で。その場でサインを求められても、持ち帰ってよいものです。

⑥が重要です。立ち会いの場で確認書にサインを求められることがありますが、内容に納得できないまま署名する必要はありません。持ち帰って確認したいと伝えて構いません。

話がまとまらないとき

相談先

状況相談先
請求額の根拠に納得できない消費生活センター
原状回復の考え方を確かめたい国土交通省のガイドライン(公表資料)
契約や特約の有効性が争点になっている法律の専門家
少額で、話し合いで解決したいまず管理会社・貸主と書面でやりとりする

本サイトは一般的な整理であり、個別の事案について判断するものではありません。

つまずくところ

入居時の記録がない

入居前からの状態を示せません。これから借りる方は、入居日に写真を撮ってください。

入居中に伝えていない

放置していたと見られる余地が残ります。早めに伝えます。

立ち会いの場でサインする

内容に納得できないまま署名する必要はありません。持ち帰れます。

見積りの内訳を確認しない

何にいくらかかっているのかを確認します。

特約を読まずに払う

国土交通省のガイドラインは、特約に3つの要件を示しています。

よくある疑問

退去時に消毒費用を請求されました。

特約の有無と、その内容が3要件を満たすかを確認してください。金額の根拠も示してもらえます。

入居中に虫が出ていました。退去時に請求されますか。

原因と、入居中に伝えていたかによります。伝えた記録があれば、放置していないことを示せます。

経年変化は自分の負担ですか。

国土交通省のガイドラインは、経年変化・通常損耗は賃借人負担ではないとしています。賃料に含まれるという考え方です。

立ち会いでサインを求められました。

納得できないまま署名する必要はありません。持ち帰って確認したいと伝えて構いません。

どこに相談すればよいですか。

請求額でもめている場合は消費生活センターへ。契約の有効性が争点なら法律の専門家にご相談ください。

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一次情報の確認先

本ページの前提となる制度・統計は、以下の公的機関等の公表情報で確認できます。最新の内容は必ず各機関の公式ページでご確認ください。

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