店に持って行くと、取り消せない
「店舗のほうが安心」と考えて持って行く人が多くいます。ところが店舗買取には訪問購入の規定がかかりません。国民生活センターは「店舗での買取ではクーリング・オフの利用はできません」とはっきり書いています。そして相談件数は5年で5倍以上に増えています。
クーリング・オフが無い理由
国民生活センターの説明を引きます。
事業者が自宅に来訪して買取を行う場合には、特定商取引に関する法律の訪問購入に関する規定が適用され
店舗での買取は消費者が自ら店舗に出向いていることから、この制度の対象外
店舗での買取ではクーリング・オフの利用はできません
「自ら店舗に出向いている」——これが理由です。自分の意思で行った以上、いつでも帰れるはずだ、という前提になっています。
自宅に来てもらう場合と、店に持って行く場合
| 自宅に来てもらう(訪問購入) | 店に持って行く(店舗買取) | |
|---|---|---|
| 特定商取引法の訪問購入 | 適用される | 対象外 |
| クーリング・オフ | 書面を受け取った日から8日 | できない |
| 物品の引渡しの拒絶 | できる | — |
| 不招請勧誘の禁止 | かかる | — |
| 書面の交付 | 義務 | — |
| 第三者へ渡したときの通知 | 義務 | — |
出典:国民生活センター「事業者が自宅に来訪して買取を行う場合には、特定商取引に関する法律の訪問購入に関する規定が適用され」るが、「店舗での買取は消費者が自ら店舗に出向いていることから、この制度の対象外」。個別の適用は契約の形態によります。
相談は5倍以上に増えた
国民生活センターが2026年9月2日に公表した数字です。
店舗でのアクセサリー・貴金属等の買取に関する相談件数
| 年度 | 件数 |
|---|---|
| 2020年度 | 165件 |
| 2024年度 | 566件 |
| 2025年度 | 937件 |
出典:国民生活センター(2026年9月2日)。同じ期間、訪問購入の相談は年8,000件前後で横ばいです。
訪問購入は横ばい、店舗買取は急増。規制がかかる側は落ち着き、かからない側で増えています。この差は、制度の有無をそのまま映しているように見えます。
どういうトラブルが起きているか
国民生活センターが挙げている事例を引きます。
査定だけのつもりで店舗に行ったところ、断り切れずに買取に応じてしまった
希望額ではなかったのに強引に現金を渡された
店舗で断りにくくなる場面
査定に時間をかけられる
1時間かけて調べてもらうと、断りづらくなります。時間をかけたのは業者の判断です。
品物を奥に持って行かれる
手元から離れると、返してもらう会話が必要になります。目の前で査定してもらってください。
複数の担当者が出てくる
上席が出てくると圧が上がります。人数が増えたら、いったん帰ると言ってよい場面です。
現金を先に出される
受け取ると契約したことになりえます。手を出さないでください。
「今日だけ」と言われる
考える時間を与えないための言い方です。今日でなくてよい買取です。
「査定」と「契約」を分ける
国民生活センターの核心はここです。
査定とは、あくまでも買取業者が価格を提示するものであり、買取契約とは別の行為です
納得できる買取金額か、決める前に確認しましょう
査定を受けても、売る義務は生まれません。この一点を、行く前に自分の中で確定させておいてください。
そのうえで、店に入った最初に声に出して言うと、後の展開が変わります。
「今日は査定だけお願いします。売るかどうかは持ち帰って決めます」
行く前にやること
店舗に行く前の準備
- 売る物を写真に撮る全体と、特徴が分かる部分。あとで何を渡したかを説明できます。
- 数を数えて書き出す点数が合わないという話を防げます。
- いくらなら売るかを決めておくその場で考えると判断がぶれます。下限を紙に書いて持って行ってください。
- 2〜3店で査定してもらうと決める1店目で決めない前提にしておくと、断りやすくなります。
- 誰かと一緒に行く一人だと押し切られやすくなります。
- 時間を区切る「30分で出ます」と決めておく。長居するほど断りにくくなります。
その場でやること
店内で守ること
- 最初に「今日は査定だけです」と言う
- 品物を奥に持って行かれない。目の前で査定してもらう
- 現金を受け取らない
- 書類にサインする前に、金額と品目を読む
- 「持ち帰って決めます」と言ってよい
- 強く迫られたら、品物を返してもらって帰る
- 帰ったあとで、査定額をメモに残す
3つ目が重要です。現金を受け取ると、契約が成立したと扱われる可能性があります。「まだ決めていません」と言って、手を出さないでください。
確認の順序
店舗買取で損をしないための順序
- 店舗買取にクーリング・オフが無いことを知っておく
- 売る物を撮影し、点数を数える
- 下限の金額を決めてから行く
- 最初に「査定だけ」と言う
- 目の前で査定してもらう
- 現金を受け取らない
- その日は決めずに帰る
- 複数店の金額を比べてから決める
→ 自宅と店舗で守り方が逆になる/クーリング・オフと引渡しの拒絶/頼んでいない訪問は違法/対象外になる品物と取引/店舗買取には8日間が無い/相談先と、頼む前にやること
自宅で査定を受けて、持ち帰って考える形にする
出張買取は自宅で査定を受ける形です。訪問購入の規定が適用される場合、書面を受け取った日から8日以内は取り消せます。査定の流れは公式サイトで確認できます。
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確認に使った一次情報
- 消費者庁「特定商取引法ガイド 訪問購入」no-trouble.caa.go.jp
- 特定商取引に関する法律施行令(e-Gov 法令検索)laws.e-gov.go.jp
- 国民生活センター「店舗でのアクセサリーまたは貴金属等の買取に関する消費者トラブルにご注意!」(2026年9月2日)kokusen.go.jp
- 国民生活センター「訪問購入(各種相談の件数や傾向)」kokusen.go.jp
よくある疑問
店舗で売った翌日に後悔しました。
査定してもらったら断れませんか。
現金を受け取ってしまいました。
店舗のほうが高く買ってもらえますか。
チェーン店なら安心ですか。
出張買取なら必ず取り消せますか。
買取と訪問購入の法令ガイドの記事一覧
一次情報の確認先
本ページの前提となる制度・統計は、以下の公的機関等の公表情報で確認できます。最新の内容は必ず各機関の公式ページでご確認ください。