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撤去するかどうかを決めるのは建物の側

「光回線は退去時に撤去しないといけないのか」——これに一律の答えはありません。決めるのは回線事業者ではなく、建物の所有者・管理会社です。だから、退去の直前に事業者へ聞いても答えは出ません。

このページの内容
  1. 誰が決めるのか
  2. 原状回復のガイドラインではどうなるか
  3. 撤去しない場合に何が起きるか
  4. 入居中に確認しておくこと
  5. 退去が決まってからの順番
  6. 自分で外してはいけない理由
  7. 退去日に間に合わないとき
  8. よくある失敗
  9. よくある疑問

誰が決めるのか

撤去をめぐる登場人物

何を決めるか決められないこと
建物の所有者・管理会社設備を残してよいか、撤去を求めるか撤去の技術的な方法
回線事業者撤去工事を行うかどうか、その費用建物として残してよいかどうか
入居者どちらの意向にも従って手配する自分の判断だけで残す・撤去することはできない

回線事業者に「撤去は必要ですか」と聞いても、建物の方針は答えられません。順番が逆です。

したがって最初に聞くのは管理会社です。そのうえで、撤去が必要なら回線事業者に手配します。

原状回復のガイドラインではどうなるか

国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(再改訂版)は、原状回復を次のように定義しています。

賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること

国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(再改訂版)

この定義から、経年変化と通常の使用による損耗は賃借人の負担ではありません。ガイドラインはこれらを「賃料に含まれるもの」と整理しています。

ただし、光回線の設備は「使っていたら自然に生じた損耗」ではなく、入居者が自分の意思で新たに設置したものです。ここが分かれ目になります。

状況別の考え方

入居前から設備があり、それを使っただけ

自分が設置したものではないため、撤去を求められる理由は通常ありません。ただし契約書の定めを確認してください。

許可を取って、自分で新規に引いた

許可を出した時点で、退去時の扱いも取り決めているのが本来です。そのときの記録が効きます。取り決めがなければ、退去時に協議になります。

無断で引いた

契約違反を問われうるほか、原状回復の負担が重くなる可能性があります。退去前に自己申告するほうが、結果として軽く済みます。

特約で「撤去は借主負担」と書かれている

ガイドラインは特約の有効要件として、①客観的・合理的理由があり暴利的でないこと、②借主が通常を超える義務を負うと認識していること、③借主が義務負担の意思表示をしていること、の3つを挙げています。契約書を読み返してください。

撤去しない場合に何が起きるか

実務では、設備を残したまま退去する(残置)ことが認められる物件も多くあります。次の入居者がそのまま使えるためです。

ただし残置が認められるかは物件次第で、認められないのに残して退去すると、後から撤去費用を請求されることがあります。「みんな残している」は根拠になりません。

残置で退去する前に確認すること

いちばん多い取りこぼしは、機器の返却です。ONUなどは事業者からの貸与品で、返さないと請求が発生することがあります。設備を残すことと、機器を返さないことは別の話です。

入居中に確認しておくこと

退去は数年後で、担当者は変わります。引いたときに聞いておけば数十秒で済む話が、退去時には交渉になります。

引くときに一緒に聞いておく

  1. ① 退去時に撤去が必要か「残置でよろしいでしょうか、それとも撤去が必要でしょうか」
  2. ② 撤去が必要な場合、誰が費用を負担するか「撤去費用の負担はどちらになりますでしょうか」
  3. ③ 返答をメールで残す電話で聞いたら、内容をメールで送って返信をもらいます。

退去が決まってからの順番

退去のときの順番

  1. ① 管理会社に撤去の要否を確認するここが起点です。事業者に先に連絡しても決まりません。
  2. ② 回線の解約手続きをする解約の申し出から実際の停止まで日数がかかります。早めに。
  3. ③ 撤去が必要なら工事を手配する工事の枠が埋まっていることがあります。退去日から逆算してください。
  4. ④ 貸与機器を返却する返却方法と期限を確認します。
  5. ⑤ 引っ越し先の回線を手配する退去と入居が同時期なら、新居側の許可の確認も並行して進めます。

③は間に合わないことが実際に起きます。退去日が決まったら、その週のうちに①を済ませてください。

引っ越し先の住所で、提供状況と工事の要否を確認する

新居側の工事にも許可と日程が要ります。退去の手続きと並行して進めてください。

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自分で外してはいけない理由

「ケーブルを引き抜くだけでは」と思われがちですが、やらないでください。理由は3つあります。

自分で撤去してはいけない理由

理由何が起きるか
設備が自分のものではない屋外の配線・共用部の設備は回線事業者の資産です。破損させれば賠償の話になります
建物を傷める無理に引き抜くと、外壁や配管、他の入居者の配線を巻き込むことがあります
解約の手続きとは別物理的に外しても契約は続きます。料金は発生し続けます

室内の機器(ONU・ルーター)を外すことと、建物側の設備を撤去することは、まったく別の作業です。

入居者ができるのは、室内の貸与機器を外して返却の準備をすることまでです。その先は事業者の作業になります。

撤去が退去日に間に合わないとき

実際によく起きます。退去日が決まってから動くと、工事の枠が取れません。

間に合わないと分かったときの動き方

まず管理会社に伝える

黙って退去するのが最悪です。「撤去工事の枠が◯日以降になる」と先に伝えると、鍵の返却日を調整してもらえることがあります。

残置でよいか、あらためて確認する

撤去の予定が立たない状況なら、残置に切り替えられないかを聞いてみる価値があります。

退去後の作業が可能か聞く

空室のまま作業できる物件もあります。誰が立ち会うか、鍵をどうするかを管理会社と決めます。

費用の負担がどうなるか確認する

日程が延びたことで追加費用が出るのか、出るなら誰が負担するのかを、先に書面で確認します。

繁忙期(1〜4月)は枠がとくに埋まります。退去日が決まった週のうちに、管理会社と事業者の両方に連絡してください。

よくある失敗

事業者に「撤去は必要ですか」と聞く

事業者は建物の方針を知りません。管理会社が起点です。

退去の直前に動く

工事の枠が取れず、退去日に間に合いません。

残置してよいと自己判断する

後から撤去費用を請求されることがあります。書面で確認してください。

機器を返却し忘れる

貸与品です。設備を残すことと機器を返すことは別です。

解約手続きを忘れる

退去しても契約は続きます。料金が発生し続けます。

よくある疑問

撤去工事の費用はいくらですか。

事業者と工事の内容によって異なります。本サイトでは事業者ごとの金額は扱いません。解約の連絡をするときに、撤去の要否とあわせて金額を確認してください。

自分で撤去してもよいですか。

しないでください。屋外の配線や共用部の設備は事業者の資産です。破損させると賠償の問題になります。

撤去しないまま退去してしまいました。

管理会社に連絡してください。残置が認められれば問題になりませんが、認められない場合、後から費用を請求されることがあります。早く連絡するほど選択肢があります。

次の入居者が使えるなら、残したほうがよいのでは。

そのとおりで、多くの物件は残置を認めています。ただし判断するのは建物側です。確認したうえで残してください。

退去時に「撤去費用」を請求されました。納得できません。

契約書の定めと、入居時の取り決めを確認してください。特約がある場合、ガイドラインの3要件(客観的・合理的理由/借主の認識/借主の意思表示)を満たしているかが論点になります。話がつかない場合は、消費生活センターに相談できます。

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