本ページの制度の記載は、文部科学省および各市区町村の公表内容にもとづきます。

「学区外に通いたい」には、制度が2つある

住んでいる場所で通う学校は決まりますが、変える道が用意されています。ただし制度は2つあり、別のものです。同じ市区町村の中で学校を変えるのが「指定校変更」(学校教育法施行令第8条)、別の市区町村の学校に通うのが「区域外就学」(同第9条)。9条は「承諾を証する書面を添え」て「届け出なければならない」と条文に書かれており、2つの自治体が関わります。ここを取り違えると、窓口で書類を出し直すことになります。

本ページは公立の小中学校の就学手続きについての一般的な整理です。本サイトが承認の可否を判断するものではありません。認められる理由・必要書類・受付時期・窓口は、市区町村ごとに異なります。また受付の期間が決まっている自治体があり、過ぎると次の機会まで待つことになります。かならず、お住まいの市区町村と、通わせたい学校のある市区町村の両方にご確認ください。
このページの内容
  1. 8条と9条は何が違うのか
  2. 条文にはこう書かれている
  3. 9条は自治体を2つまたぐ
  4. 自治体ごとに違うもの
  5. 状況ごとの入口
  6. よくある取りこぼし
  7. 確認に使った一次情報
  8. よくある疑問

8条と9条は何が違うのか

指定校変更(8条)と区域外就学(9条)

指定校変更(施行令8条)区域外就学(施行令9条)
どんなとき同じ市区町村の中で、指定された学校を変える住所のある市区町村以外の学校に通う
関わる自治体1つ2つ(住所地と、学校のある市区町村)
条文の言い方「保護者の申立てにより」「変更することができる」「承諾を証する書面を添え」「届け出なければならない」
手続きの数申立て1回承諾をもらう+住所地へ届け出る
住民票動かさない動かさない(住所は元のまま)

出典:文部科学省の公表内容(2026年9月11日確認)。認められる理由と手続きの詳細は市区町村ごとに異なります。

引っ越して住民票を移したなら、そもそもどちらでもありません。転居先の市区町村で通常の就学手続きになります。2つの制度は、住民票を動かさないまま別の学校に通うための仕組みです。

条文にはこう書かれている

文部科学省は、根拠となる条文をそのまま示しています。

根拠条文(文部科学省の公表内容)

制度条文文言
就学校の指定学校教育法施行令 第5条第2項「…前項の通知において当該就学予定者の就学すべき小学校、中学校又は義務教育学校を指定しなければならない。」
指定校変更同 第8条「市町村の教育委員会は、相当と認めるときは、保護者の申立てにより、その指定した小学校、中学校又は義務教育学校を変更することができる。」
区域外就学同 第9条「…その保護者は、…承諾を証する書面を添え、その旨をその児童生徒等の住所の存する市町村の教育委員会に届け出なければならない。」

出典:文部科学省「就学校の指定・変更、区域外就学」(2026年9月11日確認)。

8条は「変更することができる」、9条は「届け出なければならない」語尾が違います。8条は教育委員会の裁量、9条は保護者の義務として書かれています。ただし9条も、届け出の前提として相手方の承諾が要ります。届け出さえすれば通る、という意味ではありません。

文部科学省は8条の要件として「いじめへの対応、通学の利便性、部活動等学校独自の活動等を理由とする場合のほか、市町村教育委員会が相当と認めるとき」を挙げています。

9条は自治体を2つまたぐ

区域外就学(9条)の順序

  1. 通わせたい学校のある市区町村に相談する先に承諾がもらえるかを確かめます。横浜市青葉区は「就学予定校からの『入学承諾書』等、就学を許可されたことが分かる書類の原本」を求めています。
  2. 承諾を証する書面を受け取るこれが9条の要である書類です。横浜市青葉区は「合格通知書は不可」と明記しています。
  3. 住所のある市区町村の教育委員会へ届け出る承諾書を添えて届け出ます。窓口の名前は自治体ごとに違います。
  4. 在籍校・転校の手続きをする在学中の場合は学校側の手続きも並行します。時期は自治体ごとに異なります。

つまり、どちらか一方の役所だけに行っても完結しません。「住所のある役所」と「学校のある役所」の両方が関わります。先に住所地に行って「承諾書を持ってきてください」と言われるのが、いちばん多い足止めです。

自治体ごとに違うもの

法令が決めているのは枠組みだけです。中身は市区町村がそれぞれ定めて公表しています。6自治体を並べると、次の3つがはっきり分かれます。

同じ制度でも、自治体ごとに違うところ

違うところ実測した例詳しく
認められる理由台東区は「保護者の就労先が入学を希望する学校の学区域内にある場合」を挙げるが、挙げていない自治体もある認められる理由
受付の時期と期間練馬区は小学校10月上旬〜下旬、千代田区は「11月4日から28日まで」。台東区は承認期間を「概ね6ヶ月以内」とする受付の時期と期間
窓口の名前練馬区は学務課学事係、横浜市青葉区は戸籍課学籍担当窓口の名前と申請の方法

出典:練馬区・千代田区・台東区・府中市・世田谷区・横浜市青葉区の公表内容(2026年9月11日確認)。

だから「隣の市では通った」は根拠になりません。必ず、住所のある市区町村と、通わせたい学校のある市区町村の両方を確認してください。

状況ごとの入口

同じ市区町村の中で、別の学校に通わせたい

指定校変更(8条)です。関わる自治体は1つです。→ 指定校変更(8条)

引っ越すが、卒業まで今の学校に通わせたい

区域外就学(9条)です。府中市は「転居し、引き続き転居前の学校に通学を希望する場合」を事由に挙げています。認められる期間は自治体ごとに違います。受付の時期と期間

引っ越す予定があり、先に転居先の学校に通わせたい

区域外就学(9条)です。千代田区は「転入予定地の通学区域の学校へ就学を希望する場合」、府中市は「住宅の購入等により転居することが確定しており」を事由に挙げています。契約書の写しを求められます。

建て替えで一時的に市区町村の外に出る

区域外就学(9条)です。千代田区「所有する住宅の建替え、修繕等により一時的に区外に転出する場合」、府中市「住宅の建替え・増改築等により、一時的に市外へ転居するが」がこれにあたります。

きょうだいが先にその学校に通っている

多くの自治体が事由に挙げています。千代田区「兄または姉が就学を希望する学校に在学中」、台東区「入学を希望する学校に『きょうだい』が在学中である場合」、府中市「本人の兄姉が区域外就学を認められて現に在学しており」。→ 認められる理由

共働きで、放課後の預かり先が別の学区にある

事由に挙げている自治体があります。千代田区「両親共働きまたは母(父)子家庭により、学校との連絡、放課後の保護等、特に配慮を必要とする場合」、府中市「預かり先がある通学区域の学校に就学を希望する場合」。就労証明書・監護証明書を求められます。

よくある取りこぼし

住所のある役所にだけ相談した

9条は承諾を証する書面が要ります。先に学校のある市区町村の承諾が必要です。

8条のつもりで9条の窓口に行った

同じ市区町村の中なら8条、外に出るなら9条です。必要書類も窓口も変わります。

合格通知書を承諾書の代わりに出した

横浜市青葉区は「合格通知書は不可」と明記しています。

写しを出した

横浜市青葉区は「原本」を求めています。

受付期間を過ぎてから相談した

新1年生は受付期間が決まっている自治体があります。千代田区は「11月4日(火曜日)から28日(金曜日)まで」と日付で示しています。

住民票を移せば解決すると思った

住民票を移すと、そもそも別の手続きになります。生活の実態と違う住所を届け出ることはできません。

8条と9条は別の制度認められる理由は自治体ごとに違う承諾を証する書面受付の時期と期間指定校変更(8条)窓口の名前と申請の方法

関連する手続き:就学援助引っ越しの手続き単身赴任証明書の請求

確認に使った一次情報

いずれも2026年9月11日に確認した公表内容です。要件・様式・窓口・受付時期は市区町村ごとに異なり、また年度ごとに変わります。

よくある疑問

指定校変更と区域外就学は何が違いますか。

同じ市区町村の中で学校を変えるのが指定校変更(施行令8条)、住所のある市区町村以外の学校に通うのが区域外就学(施行令9条)です。9条は自治体が2つ関わります。

住民票を移す必要がありますか。

どちらの制度も、住民票を移さないまま別の学校に通うための仕組みです。移した場合は、転居先での通常の就学手続きになります。

届け出れば必ず通りますか。

条文は「届け出なければならない」ですが、その前提として承諾を証する書面が要ります。練馬区は区域外就学を「真にやむを得ない場合に限り承認」としています。

どちらの役所に先に行きますか。

通わせたい学校のある市区町村です。そこで承諾がもらえるかを先に確かめます。

どこの自治体でも同じ理由が認められますか。

異なります。台東区は「保護者の就労先が入学を希望する学校の学区域内にある場合」を挙げていますが、これを挙げていない自治体もあります。→ 認められる理由

区域外就学・指定校変更ガイドの記事一覧

一次情報の確認先

本ページの前提となる制度・統計は、以下の公的機関等の公表情報で確認できます。最新の内容は必ず各機関の公式ページでご確認ください。

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