返したいと思っても、返せない場合がある
運転に不安を感じたら免許を返せる——それは正しいのですが、警察庁は「自主返納することができません」という場合を明記しています。そして返納したあとに受け取れる運転経歴証明書には5年の期限があります。順番を間違えると取り返しがつきません。原文で確かめます。
誰が返納できるか
警察庁の記載を原文で引きます。
運転免許が不要になった方や、加齢に伴う身体機能の低下等のため運転に不安を感じるようになった高齢ドライバーの方は、自主的に運転免許証を返納することができます。
年齢の条件は書かれていません。「運転免許が不要になった方」も含まれます。高齢者だけの制度ではない、ということです。
返納できない場合
そして、この一文が続きます。
ただし、運転免許の停止・取消しの行政処分中の方や、停止・取消処分の基準等に該当する方等は、自主返納することができませんので、ご注意ください。
自主返納できない場合(警察庁の記載)
| 状態 | |
|---|---|
| 運転免許の停止・取消しの行政処分中 | |
| 停止・取消処分の基準等に該当する方 |
出典:警察庁「運転免許証の自主返納について」。「等」と書かれており、これに限られません。個別の判断は都道府県警察の運転免許センター等にご確認ください。
ここが実務では効きます。違反を重ねて処分の話が出ている段階で「先に返してしまおう」としても、返納できないことがあります。
そして処分による取消しになった場合、運転経歴証明書の交付を受けられません。→ 運転経歴証明書は5年以内
返納したら運転経歴証明書
運転免許証を自主返納した方や運転免許証の更新を受けずに失効した方は、運転経歴証明書の交付を受けることができます。
2つの入り口があります。
運転経歴証明書の交付を受けられる人
| 状態 | |
|---|---|
| 自主返納した方 | 自分で手続きをして返した |
| 運転免許証の更新を受けずに失効した方 | 返納しなくても、更新しなければ対象になる |
出典:警察庁。2つ目は見落とされがちです。更新しないまま失効した場合も、5年以内なら交付を受けられます。
そして本人確認書類として使えます。
平成24年4月1日以降に交付された運転経歴証明書は、運転免許証に代わる公的な本人確認書類として、利用することができます。
免許を返すと本人確認の手段が無くなる、という心配はここで解けます。
順番が大事
返納と運転経歴証明書の申請は別の手続きです。同時にできる場合もありますが、「返しただけ」で終えると、あとから期限が来ます。
推奨される順序
- 返納できる状態かを確認する行政処分中でないか。不安があれば運転免許センターに先に電話する。
- 運転経歴証明書を申請するかを決める本人確認書類として使えます。自治体の支援を受けるのに必要な場合があります。
- 必要書類を確認する都道府県警察によって異なります。写真が必要な場合があります。
- 同時に申請できるかを聞く返納と同時に運転経歴証明書を申請できる窓口があります。
- 自治体の支援を調べる→ 自治体の支援を調べる
どこで手続きするか
申請場所や受付時間、申請に必要な書類、要件等の詳細は、各都道府県警察の運転免許センター等にお問い合わせ下さい。
警察庁は具体的な場所を示していません。都道府県ごとに運用が違うからです。運転免許センター・警察署・幹部交番など、受け付ける場所が分かれています。
問い合わせのときに聞くこと
- 返納を受け付けている場所(免許センター/警察署/その他)
- 受付時間と曜日
- 必要な書類(写真が要るか)
- 手数料
- 返納と運転経歴証明書を同時に申請できるか
- 本人以外が代理で手続きできるか
- 所要時間(その場で交付されるか、後日郵送か)
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返したあと元に戻せるか
自主返納した免許は、取り消しの申請をしたのと同じ扱いです。元に戻す制度はありません。もう一度運転したい場合は、新規に取得することになります。
ここは慎重に判断する必要があります。返納は、いつでもできます。期限があるのは運転経歴証明書のほう(返納後5年)です。
急ぐものと、急がないもの
| 期限 | |
|---|---|
| 自主返納そのもの | 期限なし。いつでもできる |
| 運転経歴証明書の申請 | 自主返納後5年以内(失効の場合は失効後5年以内) |
| 更新をせずに失効させる | 更新期間を過ぎれば失効する |
出典:警察庁。迷っているなら、返納を急ぐ理由はありません。ただし返納したなら、経歴証明書は5年以内に申請してください。
返す前に確かめること
状況別に考える
まだ運転しているが、不安がある
返納はいつでもできます。急ぐ必要はありません。次の更新のときに認知機能検査があるなら、その結果を見てから決める方法もあります。→ 75歳からの認知機能検査
更新の通知が来たが、更新するか迷っている
更新せずに失効させた場合も、運転経歴証明書の交付を受けられます。ただし失効後5年以内です。
違反をして、処分の通知が来ている
行政処分中は自主返納できません。また処分による取消しでは運転経歴証明書の交付を受けられません。運転免許センターに状況を伝えて確認してください。
家族に返納を勧められている
本人の意思で行う手続きです。返納後の移動手段を先に決めておくと、話が進みやすくなります。→ 家族から切り出すとき
車はもう乗らないが、身分証明が心配
運転経歴証明書が本人確認書類として使えます。平成24年4月1日以降に交付されたものが対象です。
確認の順序
返納を考えたら
- 行政処分中でないかを確認する(返納できないことがある)
- 運転経歴証明書を申請するかを決める
- 返納と同時に申請できるかを運転免許センターに聞く
- 必要書類と手数料を確認する
- 返納後の移動手段を決めておく
- 自治体の支援を調べる
- 返納は急がなくてよいと知っておく(期限があるのは経歴証明書のほう)
→ 返納できない場合がある/運転経歴証明書は5年以内/75歳からの認知機能検査/運転技能検査と高齢者講習/自治体の支援を調べる/家族から切り出すとき
確認に使った一次情報
- 警察庁「運転免許証の自主返納について」https://www.npa.go.jp/policies/application/license_renewal/jishuhennou.html
- 警察庁「認知機能検査について」https://www.npa.go.jp/policies/application/license_renewal/ninchi.html
- 警察庁「認知機能検査 Q&A」https://www.npa.go.jp/policies/application/license_renewal/ninti/faq_r03.html
よくある疑問
何歳から返納できますか。
返納したら元に戻せますか。
家族が代わりに手続きできますか。
原付だけ残すことはできますか。
返納に費用はかかりますか。
入院中で本人が行けません。
高齢ドライバーの免許手続きガイドの記事一覧
一次情報の確認先
本ページの前提となる制度・統計は、以下の公的機関等の公表情報で確認できます。最新の内容は必ず各機関の公式ページでご確認ください。