説得する前に、一緒にやってみる方法がある
親に免許を返してほしい。けれど切り出せない。警察庁は認知機能検査の検査用紙を公開していて、「周囲の方が検査員役として検査を進行していただくことをお薦めします」と書いています。説得ではなく、一緒にやってみるところから始められます。
手続きは本人の意思で行う
自主返納は、本人が申請する手続きです。警察庁は「自主的に運転免許証を返納することができます」と書いています。家族が代わりに返すことはできません。
だから家族にできるのは、判断の材料をそろえることと、返したあとの生活を用意することです。
一緒に体験してみる
警察庁のページに、この一文があります。
検査において利用する検査用紙、イラスト及び検査の採点方法をダウンロードすることにより、検査を体験することができます。その場合、周囲の方が検査員役として検査を進行していただくことをお薦めします。
警察庁自身が、家族が検査員役をすることを勧めています。
一緒にやってみる手順
- 警察庁のページから資料をダウンロードする検査用紙・イラスト(パターンA〜D)・採点方法・進行要領。すべて公開されています。
- 進行要領を読む「検査員向けに作成したものですが、検査を体験する際の参考としてください」と書かれています。
- 家族が検査員役をする本番と同じ形で進めます。
- 採点する採点方法も公開されています。
- 結果について話すここが本題です。点数そのものより、やってみてどう感じたかを聞いてください。
大事なのは、これが「診断」ではないことです。警察庁は明記しています。
注 認知機能検査は、受検者の記憶力や判断力の状況を確認するための簡易な手法であり、医師の行う認知症の診断や医療検査に代わるものではありません。
体験の結果で何かを断定しないでください。更新のときに本番があります。
返納後の移動手段を先に決める
返納を渋る理由の多くは「そのあとどうするか」です。先にそこを埋めるほうが早い。
返納前に調べておくこと
- 通院——病院までの交通手段と所要時間
- 買い物——スーパーまでの距離。配達サービスがあるか
- 自治体の支援——バス・タクシーの割引(→ 自治体の支援を調べる)
- コミュニティバスの路線と時刻
- タクシーの配車——電話番号を電話に登録しておく
- 介護保険を使っているなら外出支援があるか
- 本人確認書類——運転経歴証明書(→ 運転経歴証明書は5年以内)
「返したらどこにも行けなくなる」という不安に、具体的な代替を出せるかどうかです。
切り出し方
ここは制度の話ではなく、進め方の整理です。公表資料にもとづくものではありません。
切り出し方の違い
| 言い方 | 起きやすいこと |
|---|---|
| 「もう危ないから返して」 | 否定として受け取られやすい |
| 「事故を起こしたらどうするの」 | 同上 |
| 「検査の練習用紙が公開されてるみたいだから、一緒にやってみない?」 | 手続きの話として始められる |
| 「返納した人が使える割引があるらしいけど、調べてみようか」 | 情報提供の形をとれる |
| 「更新のとき、何を受けることになるのか一緒に確認しよう」 | 本人が判断する形を残せる |
この表は一般的な進め方の例です。本人の状況と関係性によって、適切な形は変わります。
共通しているのは「本人が判断する」形を残していることです。手続き自体が本人の意思によるものなので、そこは動かせません。
車庫や物置を整理するときに、価値のあるものを確かめる
車を手放すと物の置き場も変わります。整理で出てくるものは買い取りの対象になることがあります。
- k
- u
- r
- a
- s
- h
- i
急ぐ場合と急がない場合
状況によって、進め方が変わる
まだ運転に問題は見えない
急ぐ必要はありません。返納はいつでもできます。次の更新で認知機能検査があるなら、その結果を見てから話す方法もあります。
運転が不安になってきたと本人が言っている
本人から出た言葉です。返納後の移動手段を一緒に調べるところから始められます。
ぶつけた跡が増えている/道に迷うことがある
更新の時期を確認してください。更新前でも、特定の違反があれば臨時の認知機能検査があります。→ 75歳からの認知機能検査
違反や事故を起こした
行政処分中は自主返納できません。→ 返納できない場合がある 運転免許センターに状況を伝えて確認してください。
本人が納得しない
手続きは本人の意思で行うものです。地域包括支援センターや、かかりつけ医に相談する道があります。
記録しておくこと
話し合いのためではなく、相談のときに使うためです。
書き留めておくとよいこと
- 免許証の有効期限(更新の時期が分かる)
- ぶつけた・こすった日付と場所
- 道に迷った、逆走したなどの出来事
- 本人が運転について言ったこと
- 通院・買い物の頻度と行き先(代替手段を考える材料)
- 同居家族や近くに住む親族の状況
相談できる先
相談先
| 先 | 扱うこと |
|---|---|
| 運転免許センター | 手続きのこと(返納・運転経歴証明書・検査) |
| 市区町村の高齢福祉担当課 | 返納後の移動支援・自治体の支援 |
| 地域包括支援センター | 高齢者の生活全般 |
| かかりつけ医 | 健康面の相談 |
| ケアマネジャー | 介護保険を使っている場合 |
手続きのことは運転免許センター、暮らしのことは市区町村と地域包括支援センター。分けて相談すると話が早く進みます。
確認の順序
家族として動くとき
- 免許証の有効期限を確認する(更新の時期)
- 警察庁の検査用紙をダウンロードして、一緒にやってみる
- 返納後の移動手段を先に調べる
- 自治体の支援があるか調べる
- 運転経歴証明書のことを伝える(本人確認書類として使える)
- 手続きは本人の意思で行うものだと理解しておく
- 迷ったら地域包括支援センターに相談する
→ 返納できない場合がある/運転経歴証明書は5年以内/75歳からの認知機能検査/運転技能検査と高齢者講習/自治体の支援を調べる/家族から切り出すとき
確認に使った一次情報
- 警察庁「運転免許証の自主返納について」https://www.npa.go.jp/policies/application/license_renewal/jishuhennou.html
- 警察庁「認知機能検査について」https://www.npa.go.jp/policies/application/license_renewal/ninchi.html
- 警察庁「認知機能検査 Q&A」https://www.npa.go.jp/policies/application/license_renewal/ninti/faq_r03.html
よくある疑問
家族が代わりに返納できますか。
検査を練習させてもよいのですか。
体験の結果が悪かったら、どうすればよいですか。
本人がどうしても納得しません。
更新の時期が分かりません。
返納したあと、本人が落ち込みそうです。
遠方に住んでいます。
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一次情報の確認先
本ページの前提となる制度・統計は、以下の公的機関等の公表情報で確認できます。最新の内容は必ず各機関の公式ページでご確認ください。