建物を壊すと、土地の扱いが変わる
空き家を解体するときに、必ず考えることになるのが土地の固定資産税です。住宅が建っている土地には「住宅用地特例」があり、課税標準が小さくなっています。建物を壊すと、この特例が外れます。ただし、勧告を受けた特定空家等・管理不全空家等の敷地は、建物が建っていても特例から除外されます。ここが2015年以降の制度の要点です。
住宅用地特例のしくみ
住宅が建っている土地は、課税標準が次のように軽くなります。
住宅用地の特例(国土交通省・東京都主税局の公表内容)
| 区分 | 固定資産税 | 都市計画税 |
|---|---|---|
| 小規模住宅用地(住宅1戸につき200㎡までの部分) | 価格 × 1/6 | 価格 × 1/3 |
| 一般住宅用地(小規模住宅用地以外) | 価格 × 1/3 | 価格 × 2/3 |
出典:国土交通省「空家の除却等を促進するための土地に係る固定資産税等に関する措置」および東京都主税局「固定資産税・都市計画税(土地・家屋)」。都市計画税が課されない地域もあります。
建物を壊すと、この土地は住宅用地ではなくなります。つまり課税標準が価格そのものに戻ります。その一方で、建物にかかっていた固定資産税は無くなります。合計でどうなるかは、土地と建物の評価額の比によります。
勧告を受けると特例が外れる
2015年の空家法と地方税法の改正で、建物が建っていても特例から外される仕組みができました。
住宅用地特例から除外される場合(国土交通省の公表内容)
| 状態 | 住宅用地特例 |
|---|---|
| 普通に住宅が建っている | 適用される |
| 市区町村長から勧告を受けた特定空家等の敷地 | 適用対象から除外 |
| 市区町村長から勧告を受けた管理不全空家等の敷地 | 適用対象から除外 |
| 建物を解体した | 住宅用地ではなくなる |
出典:国土交通省「空家の除却等を促進するための土地に係る固定資産税等に関する措置」。管理不全空家等は令和5年の空家法改正で加わった枠組みです。
読み方はこうです。「壊さずに置いておけば税が安いまま」という状態は、勧告を受けた時点で終わります。勧告は、助言・指導の次の段階です。
国土交通省の施行状況(令和7年3月31日時点)では、管理不全空家等への勧告が378件、特定空家等への勧告が600件と公表されています。
1月1日という区切り
固定資産税は、その年の1月1日(賦課期日)の状態で決まります。
固定資産税は、賦課期日(その年の1月1日)現在の状況により課税されますので、たとえ、年の途中で家屋を取り壊しても、今年度分の税は納めていただくことになります
出典:千葉市「よくある質問」
東京都主税局も「毎年1月1日(賦課期日)現在、固定資産課税台帳に登録されている方に課税」としています。
つまり、いつ壊しても、その年度の税は1月1日の状態で決まります。年の途中で壊しても、その年度の建物分の税は戻ってきません。
時期の組み立て
解体の時期と、次の年度の課税の関係
| 解体した時期 | その年度の課税 | 次の年度の課税 |
|---|---|---|
| 前年の12月末までに完了 | — | 1月1日に建物が無い状態で決まる |
| 1月2日〜3月 | 1月1日に建物があったので、その年度は建物にも課税 | 翌年度から建物が無い状態 |
| 年の途中(4月〜12月) | 1月1日の状態で決まっているので変わらない | 翌年度から建物が無い状態 |
これは仕組みの整理です。実際の税額は評価額・負担調整・地域によって変わります。税額の見込みは、土地がある市区町村の資産税担当課にご確認ください。
ただし、補助金の日程と噛み合わないことがあります。相模原市は「交付決定日の属する年度の1月末日までに」工事完了を求めています。制度の締切と税の区切りは別のものです。どちらも見て組み立ててください。
状況ごとの考え方
解体すると税が上がると聞いて迷っている
すでに勧告を受けている
解体した後の土地をどうするか決まっていない
跡地を市に使ってもらう制度があると聞いた
売却するつもりでいる
よくある取りこぼし
年の途中に壊せばその年の税が減ると思っていた
減りません。賦課期日は1月1日です。千葉市は「年の途中で家屋を取り壊しても、今年度分の税は納めていただく」と明記しています。
勧告を受けても税は変わらないと思っていた
勧告を受けた特定空家等・管理不全空家等の敷地は、住宅用地特例から除外されます。
解体後の届出をしなかった
課税台帳に建物が残ったままだと、翌年度も建物に課税されることがあります。→ 取り壊した後の届出
更地にした後の管理を考えていなかった
草刈りや不法投棄への対応が必要になります。遠方に住んでいる場合は特に。
補助金の締切と税の区切りを混同した
別のものです。補助金は年度の締切、税は1月1日。両方を見て時期を決めてください。
確認の順序
税について確かめること
- 今の課税明細を見る土地と建物、それぞれいくら課されているか。
- 住宅用地特例が適用されているか確認する課税明細に記載があります。
- 勧告を受けていないか確認する受けていれば、すでに特例は外れています。
- 市区町村の資産税担当課に相談する解体後の見込みを聞ける場合があります。
- 補助金の締切と合わせて時期を決める→ 契約より先に申請する
- 解体後に届出をする→ 取り壊した後の届出
→ 補助金は市区町村の要綱で決まる/対象になる空き家の条件/契約より先に申請する/家財の処分費は対象外/共有と相続の同意/解体した後の土地の税/取り壊した後の届出
確認に使った一次情報
- 国土交通省「空き家対策総合支援事業(令和8年度概要資料)」https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/002019827.pdf
- 国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法の施行状況等(令和7年3月31日時点)」https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001984996.pdf
- 国土交通省「空家の除却等を促進するための土地に係る固定資産税等に関する措置」https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/002019834.pdf
- 相模原市「危険な老朽空き家等除却費補助金について(空き家解体費補助)」相模原市 危険な老朽空き家等除却費補助金
- 松江市「松江市老朽危険空き家除却支援事業補助金について」松江市 老朽危険空き家除却支援事業補助金
- 千葉市「年の途中で家屋を取り壊した又は建て替えた場合はどうしたらよいでしょうか。」千葉市 よくある質問
- 東京都主税局「固定資産税・都市計画税(土地・家屋)」https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/kazei/real_estate/kotei_tosi
よくある疑問
空き家を壊すと固定資産税は6倍になりますか。
勧告と命令は違いますか。
管理不全空家等とは何ですか。
いつ壊すのが得ですか。
解体後の土地を市に寄付できますか。
空き家の除却補助金ガイドの記事一覧
一次情報の確認先
本ページの前提となる制度・統計は、以下の公的機関等の公表情報で確認できます。最新の内容は必ず各機関の公式ページでご確認ください。