持っているのが一人でないときにどうするか
空き家は、親から相続したまま名義がそろっていないことがよくあります。除却補助金の要綱は、この状態を想定して条件を置いています。相模原市は共有や相続人が複数の場合について「全ての所有者から同意書を提出した代表者に限る」としています。つまり、一人で勝手に申請することはできません。
2市の記載
申請できる人(実際に確認できた記載)
| 市 | 申請できる人 |
|---|---|
| 相模原市 | 所有者本人または相続人。共有・相続人複数の場合は「全ての所有者から同意書を提出した代表者に限る」。法人・暴力団関係者・市税滞納者は除外 |
| 松江市 | 対象建築物の所有者/所有者の相続人/土地所有者(建築物所有者の同意を得た場合) |
出典:相模原市・松江市の公表内容(2026年9月10日確認)。誰が申請できるかは市区町村ごとに異なります。
松江市は「土地所有者」も申請できる立て方をしています。建物の名義人が誰か分からない、連絡が取れない、という場合の受け皿になっています。ただし建物所有者の同意が要ります。
なぜ全員の同意が要るのか
建物を壊すことは、その建物についての権利を消すことだからです。共有物を処分するには、原則として共有者全員の同意が必要になります。市の側から見ると、あとで「聞いていない」と言われる事態を避ける必要があります。
だから要綱は、代表者1人が申請する形にしたうえで、全員の同意書を添えることを求めます。
名義が変わっていないとき
親が亡くなったあと相続登記をしていない場合、登記簿の名義は亡くなった方のままです。この状態でも、相模原市は「所有者本人または相続人」を申請できる人としています。
この場合に用意することになるもの
- 登記事項証明書(現在の名義を確認する)
- 亡くなった方の出生から死亡までの戸籍(相続人を確定する)
- 相続人全員の戸籍謄本
- 相続人全員の同意書(市の様式があることが多い)
- 代表者を定める書面
- 固定資産税の納税通知書(未登記家屋の場合)
戸籍をさかのぼる作業は、思ったより時間がかかります。本籍地が転々としている場合、各市区町村に請求することになります。年度の締切から逆算して、早めに始めてください。
誰が相続人かを確かめる
「兄弟の分だけ」と思っていたら、実は別の相続人がいた、ということが起きます。
相続人が増えやすい場面
| 場面 | 何が起きるか |
|---|---|
| 相続人のうち誰かが先に亡くなっている | その人の子(甥・姪)が相続人になる |
| 親に前婚の子がいた | その子も相続人 |
| 子がいない | 親、いなければ兄弟姉妹が相続人 |
| 何十年も放置していた | 相続人が枝分かれして十数人になることがある |
戸籍をたどらないと確定できません。人数が多い場合、同意書を集めるだけで数か月かかることがあります。
建物と土地の名義が違うとき
建物は親、土地は祖父、という組み合わせがあります。松江市は「土地所有者(建築物所有者の同意を得た場合)」も申請できるとしています。逆に言えば、建物所有者の同意が取れないと土地所有者からは申請できません。
相模原市は「抵当権等の権利がない」ことを条件にしています。完済していても抹消登記をしていないと、登記簿に抵当権が残ります。登記事項証明書を取って確認してください。
状況ごとの考え方
相続人の一人と連絡が取れない
相続人の一人が反対している
相続放棄をした人がいる
自分が代表者になってよいか分からない
未登記の建物だった
よくある取りこぼし
戸籍を集め始めるのが遅かった
本籍地が複数あると、取り寄せに何週間もかかります。年度の締切に間に合わなくなります。
相続人が想定より多かった
代襲相続で甥・姪まで広がることがあります。戸籍をたどってから人数を数えてください。
抵当権を抹消していなかった
相模原市は「抵当権等の権利がない」ことを条件にしています。完済していても登記は自動では消えません。
土地の名義人の同意を取っていなかった
建物と土地の名義が違うことがあります。解体後の土地の扱いに関わるため、先に確認してください。
費用の分担を決めずに進めた
補助金は工事の後払いです。誰がいったん立て替えるかを決めておかないと、途中で止まります。
確認の順序
名義まわりでやること
- 登記事項証明書を取る建物と土地の両方。名義と抵当権を確認する。
- 未登記なら課税台帳を確認する市の資産税担当で所有者を確認できます。
- 戸籍をたどって相続人を確定する出生から死亡までの連続した戸籍が要ります。
- 相続人全員に連絡する解体する意思と、費用の分担を先に共有する。
- 代表者を決める市の様式があるか窓口で確認。
- 同意書を集めるここがいちばん時間がかかります。
- 市の窓口へ→ 契約より先に申請する
→ 補助金は市区町村の要綱で決まる/対象になる空き家の条件/契約より先に申請する/家財の処分費は対象外/共有と相続の同意/解体した後の土地の税/取り壊した後の届出
確認に使った一次情報
- 国土交通省「空き家対策総合支援事業(令和8年度概要資料)」https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/002019827.pdf
- 国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法の施行状況等(令和7年3月31日時点)」https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001984996.pdf
- 国土交通省「空家の除却等を促進するための土地に係る固定資産税等に関する措置」https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/002019834.pdf
- 相模原市「危険な老朽空き家等除却費補助金について(空き家解体費補助)」相模原市 危険な老朽空き家等除却費補助金
- 松江市「松江市老朽危険空き家除却支援事業補助金について」松江市 老朽危険空き家除却支援事業補助金
- 千葉市「年の途中で家屋を取り壊した又は建て替えた場合はどうしたらよいでしょうか。」千葉市 よくある質問
- 東京都主税局「固定資産税・都市計画税(土地・家屋)」https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/kazei/real_estate/kotei_tosi
よくある疑問
相続登記をしないと補助金は使えませんか。
同意書に決まった書式はありますか。
相続人が海外にいます。
兄弟の一人が音信不通です。
費用は誰が払うことになりますか。
空き家の除却補助金ガイドの記事一覧
一次情報の確認先
本ページの前提となる制度・統計は、以下の公的機関等の公表情報で確認できます。最新の内容は必ず各機関の公式ページでご確認ください。