耐震の補助は3段階に分かれている
木造住宅の耐震補助は、ひとつの制度ではありません。①耐震診断 ②補強設計(補強図面の作成)③補強工事、の3段階に分かれていて、それぞれ別に申請します。横須賀市はこれを「ステップ1・2・3」と呼んでいます。そして、決めているのは国ではなく市区町村の交付要綱です。
3段階のしくみ
横須賀市の3段階(公表内容から)
| 段階 | 内容 | 自己負担(横須賀市の例) |
|---|---|---|
| ステップ1 | 耐震診断 | 47,000円(沿道住宅は26,000円) |
| ステップ2 | 補強図面の作成(評点1未満の住宅が対象) | 74,000円(沿道住宅は52,000円) |
| ステップ3 | 補強工事 | 工事費の2分の1(上限100万円)を補助。沿道住宅は3分の2(上限150万円)。工事監理の自己負担37,000円(沿道住宅26,000円) |
出典:横須賀市「木造住宅の耐震診断・補強工事助成事業」(2026年9月10日確認)。これは横須賀市の例です。段階の分け方も金額も市区町村ごとに異なります。横浜市のように耐震診断を無料で行う市区町村もあります。
読み方の要点は、「診断だけ受けて終わってもよい」ということです。診断の結果を見てから、工事に進むかどうかを決められます。ただし多くの市区町村で、補強設計・補強工事の補助は「評点1.0未満」であることが条件になっています。→ 耐震診断と上部構造評点
要綱で決まっている
市区町村の補助は、「〇〇市木造住宅耐震診断補助金交付要綱」のような名前の文書で定められています。案内ページより要綱のほうが条件が細かく書かれています。
要綱に書いてあること
- 対象になる住宅(建築時期・構造・階数・用途)
- 対象になる人(所有者か、居住者も含むか、複数所有者の扱い)
- 補助の額と割合
- 交付決定前に着手した場合の扱い
- 申請の期限(年度の途中で締め切られる)
- 診断を行う人の資格
- 実績報告に必要な書類
市区町村名+「木造住宅 耐震診断 補助金 交付要綱」で探すと出てきます。
住宅は診断の義務がない
国土交通省によれば、耐震改修促進法が耐震診断を義務付けているのは「要緊急安全確認大規模建築物」と「要安全確認計画記載建築物」です。つまり、個人の住宅は義務の対象ではありません。
その一方で国は目標をこう置いています。
令和17年までに耐震性が不十分な住宅、令和12年までに耐震性が不十分な要緊急安全確認大規模建築物をおおむね解消する
出典:国土交通省「住宅・建築物の耐震化について」
義務ではないが、目標がある。だから補助で後押しする、という構造です。逆に言えば、放っておくと誰も声をかけてくれません。自分から動く必要があります。
2つの年
木造住宅で意味を持つ2つの年
| 時期 | 何が変わったか | 補助の扱い |
|---|---|---|
| 〜昭和56年5月31日 | 旧耐震基準 | 多くの市区町村で補助の対象 |
| 昭和56年6月1日〜 | 新耐震基準が施行(震度6強〜7程度で倒壊・崩壊しないことを基準) | 市区町村により対象・対象外が分かれる |
| 〜平成12年5月31日 | 木造は接合部・壁の配置などの規定が整う前 | 横須賀市・横浜市はここまでを対象にしている |
| 平成12年6月1日〜 | 現在に近い木造の規定 | 対象外としている市区町村が多い |
出典:国土交通省および横須賀市・横浜市の公表内容から整理。どこで線を引くかは市区町村ごとに違います。昭和56年で切る市区町村と、平成12年まで対象にする市区町村があります。
ここが多くの人の思い込みとずれるところです。「昭和56年より後だから大丈夫」とは限りません。横須賀市も横浜市も、平成12年5月31日以前を対象にしています。→ 2つの年で分かれる
自分の家がどこに当たるか
昭和50年代に建てた家
平成10年前後に建てた家
ツーバイフォーやプレハブ
3階建て
増築している
親の家で、名義が複数になっている
確認の順序
最初にやること
- 建築確認の日付を調べるいちばん先。確認済証か確認台帳記載事項証明書で分かります。
- 市区町村の建築指導・住宅担当課に電話する今年度の受付状況と対象の条件。
- 要綱を読む案内ページに書いていない条件があります。
- 耐震診断を申し込む無料の市区町村もあります。→ 耐震診断と上部構造評点
- 評点を見る1.0未満なら補強設計・工事の補助の対象になりうる。
- 契約する前に交付決定を待つ→ 契約より先に申請する
- 工事後に固定資産税の減額を申告する→ 改修後の固定資産税の減額
よくある取りこぼし
「昭和56年より後だから対象外」と思い込んだ
横須賀市・横浜市は平成12年5月31日以前を対象にしています。確認してください。
先に工事の契約をしてしまった
横須賀市は「補助金交付決定前に着手(施工業者と契約)した場合、補助対象外となります」と明記しています。
診断だけで終わらせた
診断は「今どうなっているか」を知るためのものです。評点が1.0未満なら、次の段階の補助が使えることがあります。
年度の締切を過ぎた
受付期間が設けられています。横浜市は無料診断の受付締切を明示しています。
工事後の固定資産税の申告を忘れた
三鷹市は申告を改修完了後「原則3カ月以内」としています。
→ 耐震の補助は要綱で決まる/2つの年で分かれる/耐震診断と上部構造評点/補強設計と補強工事/契約より先に申請する/床下の腐朽と蟻害/全部は直せないとき/改修後の固定資産税の減額
確認に使った一次情報
- 国土交通省「住宅・建築物の耐震化について」国土交通省 住宅・建築物の耐震化について
- 国土交通省 みんな安心住まいサポートセンター「<新耐震基準>を満たす住宅とはどういう意味ですか」https://renkei-sb.mlit.go.jp/
- 東京都耐震ポータルサイト「戸建住宅の耐震診断」東京都耐震ポータルサイト 戸建住宅の耐震診断
- 横須賀市「木造住宅の耐震診断・補強工事助成事業」横須賀市 木造住宅の耐震診断・補強工事助成事業
- 横浜市「木造住宅の無料耐震診断」横浜市 木造住宅の無料耐震診断
- 三鷹市「住宅の耐震改修に伴う固定資産税の減額制度」三鷹市 住宅の耐震改修に伴う固定資産税の減額制度
よくある疑問
耐震診断は必ず有料ですか。
補助はどの市区町村にもありますか。
マンションでも使えますか。
借家に住んでいますが申請できますか。
診断を受けたら工事しなければいけませんか。
木造住宅の耐震補助ガイドの記事一覧
一次情報の確認先
本ページの前提となる制度・統計は、以下の公的機関等の公表情報で確認できます。最新の内容は必ず各機関の公式ページでご確認ください。