家全体でなく寝ている場所を守る
耐震改修は費用がかかります。高齢の親が一人で住んでいる、いずれ建て替える、費用が出せない。そういうときに、家全体ではなく「一部屋だけ」「寝ている場所だけ」を守る方法があります。市区町村には耐震シェルター・防災ベッドの設置助成があり、「〇〇市耐震シェルター・防災ベッド設置事業費補助金交付要綱」といった名前で定められています。
どういうものか
家全体を直さない方法
| 方法 | 守る範囲 | 考え方 |
|---|---|---|
| 耐震シェルター | 部屋の中に置く箱状・骨組状のもの | 建物が倒れても、その中の空間を確保する |
| 防災ベッド | ベッドの上 | 寝ている間に倒壊しても、ベッドの上が潰れないようにする |
| 部分改修 | 1階の一部・寝室など | 建物の一部だけを補強する |
| 家具の固定 | 部屋の中 | 倒壊しなくても家具で怪我をする |
市区町村が助成の対象にしている製品や工法が決まっていることがあります。要綱と窓口で確認してください。
考え方の出発点は「地震で亡くなる原因の多くが、倒壊した家に押しつぶされることだった」という点です。家を守れなくても、人が助かる可能性を上げる、という発想です。
要綱で決まっている
この制度も市区町村ごとです。「〇〇市耐震シェルター・防災ベッド設置事業費補助金交付要綱」「〇〇市防災ベッド等設置推進補助事業要綱」といった名前で定められています。
要綱で確認すること
- 対象になる住宅(建築時期・構造)
- 対象になる世帯(高齢者のみの世帯、障害のある方がいる世帯などに限る市区町村がある)
- 対象になる製品・工法(指定されていることがある)
- 補助の額
- 耐震診断を受けていることが条件か
- 交付決定前に購入・設置した場合の扱い
- 年度の受付期間
「高齢者のみの世帯」など、対象を絞っている市区町村があります。逆に、耐震改修の補助と併用できないことがあります。窓口で確認してください。
部分改修という選び方
耐震改修の補助は、多くの市区町村で「補強後に評点1.0以上」を条件にしています。そこに届かない場合、補助が使えないことがあります。
上部構造評点(Iw)の区分と判定(東京都耐震ポータルサイト)
| 評点 | 判定 |
|---|---|
| 1.5以上 | 倒壊しない |
| 1.0以上〜1.5未満 | 一応倒壊しない |
| 0.7以上〜1.0未満 | 倒壊する可能性がある |
| 0.7未満 | 倒壊する可能性が高い |
出典:東京都耐震ポータルサイト「戸建住宅の耐震診断」。「必要な耐震性能を満たすには、Iwが1.0以上である必要があります」とされています。
ただし市区町村によっては、1.0に届かなくても一定以上上げる工事を対象にする「部分改修」の補助を置いていることがあります。「全部やるか、何もしないか」の二択ではありません。窓口で選択肢を聞いてください。
どこを守るか
守る場所を決めるときの考え方
| 場所 | 理由 |
|---|---|
| 寝室 | 寝ている間は逃げられない。地震の時刻は選べない |
| 1階 | 木造2階建てでは1階が潰れる形の被害が多い |
| 出口に近い部屋 | 外に出やすい |
| 高齢の方が長くいる部屋 | 移動に時間がかかる |
どこに置くかは、その家での過ごし方によります。診断の結果でどこが弱いかが分かっていると、判断しやすくなります。
設置の前に部屋を空ける
耐震シェルターも防災ベッドも部分改修も、まず「その部屋を空ける」ところから始まります。物が多い部屋には置けません。
高齢の親の家では、長年の物が積み上がっていることがあります。片付けが先に立ちはだかって、制度の話が進まない、ということが実際に起きます。設置する部屋を1つ決めて、そこだけ空ける、という進め方があります。
置く部屋を先に空ける
シェルターやベッドを入れるには、部屋を空ける必要があります。運び出しから対応する不用品回収があります。
- k
- u
- r
- a
- s
- h
- i
状況ごとの考え方
高齢の親が一人で住んでいる
いずれ建て替える予定がある
評点が0.7未満だった
賃貸に住んでいる
耐震改修の補助と両方使いたい
部屋が物でいっぱいで置けない
よくある取りこぼし
先に買ってしまった
交付決定前の購入・設置を対象外にしている市区町村があります。→ 契約より先に申請する
対象の製品でなかった
助成の対象になる製品や工法が指定されていることがあります。
世帯の条件を満たさなかった
高齢者のみの世帯などに限っている市区町村があります。
耐震診断が条件だった
診断を受けていることを要件にしている市区町村があります。
置く場所を決めていなかった
どの部屋に置くかで、必要な大きさも片付けの範囲も変わります。
確認の順序
全部は直せないとき
- 耐震診断を受けるどこが弱いかを知る。→ 耐震診断と上部構造評点
- 全体改修の見積もりを取る比べる材料になります。
- 市区町村にシェルター・防災ベッドの助成があるか聞く対象世帯と対象製品も。
- 部分改修の補助があるか聞く1.0に届かない工事の扱い。
- 置く部屋を決める寝室・1階が基本。
- 部屋を空けるここで止まりやすい。
- 交付決定を待ってから購入・設置する→ 契約より先に申請する
→ 耐震の補助は要綱で決まる/2つの年で分かれる/耐震診断と上部構造評点/補強設計と補強工事/契約より先に申請する/床下の腐朽と蟻害/全部は直せないとき/改修後の固定資産税の減額
確認に使った一次情報
- 国土交通省「住宅・建築物の耐震化について」国土交通省 住宅・建築物の耐震化について
- 国土交通省 みんな安心住まいサポートセンター「<新耐震基準>を満たす住宅とはどういう意味ですか」https://renkei-sb.mlit.go.jp/
- 東京都耐震ポータルサイト「戸建住宅の耐震診断」東京都耐震ポータルサイト 戸建住宅の耐震診断
- 横須賀市「木造住宅の耐震診断・補強工事助成事業」横須賀市 木造住宅の耐震診断・補強工事助成事業
- 横浜市「木造住宅の無料耐震診断」横浜市 木造住宅の無料耐震診断
- 三鷹市「住宅の耐震改修に伴う固定資産税の減額制度」三鷹市 住宅の耐震改修に伴う固定資産税の減額制度
よくある疑問
耐震シェルターはどの市区町村にもありますか。
どんな製品が対象になりますか。
耐震改修の補助と両方使えますか。
賃貸でも設置できますか。
シェルターがあれば耐震改修は要りませんか。
木造住宅の耐震補助ガイドの記事一覧
一次情報の確認先
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