制度はあるが、線が引かれている
在宅で電源が必要な機器を使っている人に、自治体が自家発電装置や蓄電池を給付する事業があります。江戸川区・板橋区の例では自家発電装置は212,000円まで、蓄電池は104,000円まで。そして対象になるのは「災害時個別支援計画」を作っている人に限られます。計画がまだの人、限度額を超える分、対象にならない機器は、自己負担になります。
給付事業のかたち
これは国の制度ではなく、自治体ごとの事業です。名称も市区町村によって違います。
実際に確認できた2区の事業
| 江戸川区 | 板橋区 | |
|---|---|---|
| 事業名 | 在宅人工呼吸器使用者自家発電装置等給付事業 | 在宅人工呼吸器使用者非常用電源装置給付事業 |
| 前提 | 「在宅人工呼吸器使用者災害時個別支援計画」を作成済みで、自家発電装置等準備の必要性が記載されていること | 「板橋区在宅人工呼吸器使用者災害時個別支援計画」を作成している方 |
| 給付されるもの | 自家発電装置(カセットボンベ式)または蓄電池のいずれか一つ | 自家発電装置1台もしくは蓄電池最大2台 |
| 限度額 | 自家発電装置:実費または212,000円のいずれか少ない額/蓄電池:実費または104,000円のいずれか少ない額 | 自家発電装置212,000円まで/蓄電池104,000円まで(超過分は自己負担) |
| 窓口 | 保健所・各健康サポートセンター | 健康福祉センター(地区担当保健師に相談) |
出典:江戸川区・板橋区の公表内容(2026年9月10日確認)。これは2区の例です。制度の有無・名称・限度額は市区町村ごとに異なります。東京都には難病患者向けの非常用電源設備整備事業もあります。
対象になる人
江戸川区は、対象者の要件をこう挙げています。
江戸川区の要件(公表内容から)
- 区内在住であること
- 「在宅人工呼吸器使用者災害時個別支援計画」を作成済みで、自家発電装置等準備の必要性が記載されていること
- 「他の公的制度による自家発電装置等の給付等を受けることができない方」
- 申請日時点で自家発電装置または蓄電池を所持していない方
3つめと4つめが重要です。他の制度で給付を受けられる人は対象外、すでに持っている人も対象外。つまり「先に自分で買ってしまうと、この事業は使えなくなります」。
そして最初の前提が「災害時個別支援計画」を作っていることです。これは市区町村や保健所が本人・家族・訪問看護等と一緒に作るもので、計画づくりから始まります。一般の個別避難計画とは別に、医療的な内容を含む計画として作られることがあります。→ 個別避難計画
給付される機器
江戸川区は、機器の要件をこう書いています。
給付の対象になる機器(江戸川区の記載)
| 区分 | 要件 | 対象外 |
|---|---|---|
| 自家発電装置(カセットボンベ式) | 「原則として外付けバッテリーの充電を目的とするもの」 | 燃料とエンジンオイル |
| 蓄電池 | 「定格出力300W以上で、容易に使用及び運搬可能な、蓄電機能を有する正弦波交流出力の電源装置」 | — |
| 人工呼吸器専用外付バッテリー | 対象に含まれる | — |
出典:江戸川区の公表内容。「正弦波交流出力」「定格出力300W以上」という条件が付いています。機器の選定は、必ず主治医・訪問看護・保健所と相談してください。
「正弦波」という条件が付いているのは、機器によっては矩形波では正しく動かないことがあるためです。安いものを選べばよいという話ではありません。どの機器が使えるかは、必ず主治医と医療機器の提供元に確認してください。本サイトでは個別の機器の適否を判断しません。
限度額と自己負担
限度額(2区の例)
| 機器 | 限度額 |
|---|---|
| 自家発電装置 | 212,000円まで |
| 蓄電池 | 104,000円まで |
出典:江戸川区・板橋区の公表内容。板橋区は「超過分は自己負担」と明記しています。市区町村ごとに異なります。
板橋区は「自家発電装置1台もしくは蓄電池最大2台」としています。台数にも上限があります。
そしてこの事業の対象にならない場面が、いくつもあります。
制度の外側に落ちる部分
自己負担になりうる部分
- 限度額を超えた分(板橋区は「超過分は自己負担」と明記)
- 台数の上限を超える分
- 燃料・エンジンオイル(江戸川区は対象外と明記)
- 災害時個別支援計画をまだ作っていない段階
- すでに機器を持っている場合(江戸川区は対象外)
- 人工呼吸器以外の機器のために電源が要る場合(対象は事業ごとに定められています)
- 制度が無い市区町村に住んでいる場合
- 家族全体の生活(照明・冷暖房・調理・通信)のための電源
最後の項目は見落とされがちです。医療機器の電源が確保できても、真夏や真冬に停電が続けば、家全体で困ります。制度が見ているのは機器の分だけです。
制度の対象外になる部分を、どう埋めるか
容量別のラインナップと、何時間どの機器が動くかの目安を確認できます。給付事業の対象になるかは、必ず市区町村の窓口にご確認ください。
- k
- u
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- a
- s
- h
- i
申請の手順
江戸川区・板橋区の記載から整理した流れ
- まず相談する江戸川区は「申請前に相談が必須」。保健所・健康サポートセンター、板橋区は地区担当保健師。
- 災害時個別支援計画を作るこれが前提条件です。自家発電装置等の必要性が計画に記載されている必要があります(江戸川区)。
- 機器を選ぶ要件に合うものか確認する。主治医・訪問看護・医療機器の提供元と相談。
- 見積書をとる申請には見積書が要ります。
- 申請書と見積書を提出する窓口は保健所・健康福祉センターなど。
- 決定を待つ先に買うと対象外になることがあります(江戸川区は申請日時点で所持していないことが要件)。
- 受け取ったら使い方を確認する実際に動かしてみる。いざというときに初めて使うのは危険です。
状況ごとの考え方
災害時個別支援計画をまだ作っていない
すでに蓄電池を買ってしまった
住んでいる市区町村に制度が無い
限度額では足りない
人工呼吸器以外の機器を使っている
停電が長引いたときの生活全体が心配
よくある取りこぼし
先に買ってしまった
所持していないことが要件になっている市区町村があります。
燃料も給付されると思っていた
江戸川区は燃料とエンジンオイルを対象外としています。
機器の要件を確認しなかった
「定格出力300W以上」「正弦波交流出力」といった条件があります。必ず主治医・医療機器の提供元と確認してください。
計画を作っていなかった
災害時個別支援計画が前提条件です。
受け取ってから一度も動かしていない
いざというときに初めて使うのは危険です。定期的に確認してください。
確認の順序
電源について確かめる
- 保健所・市区町村の担当保健師に相談するいちばん先。
- 災害時個別支援計画の有無を確認する前提条件です。
- 給付事業があるか確認する市区町村と都道府県の両方。
- 必要な電力を整理する主治医・医療機器の提供元と。
- 要件に合う機器を選ぶ定格出力・出力波形。
- 申請して決定を待つ先に買わない。
- 制度の外側をどうするか決める限度額を超える分、生活全体の電源。
→ 4つの制度の全体像/避難行動要支援者名簿/個別避難計画/福祉避難所と直接避難/電源が要るときの給付/救急医療情報キット/家族が先にやること
確認に使った一次情報
- 内閣府(防災担当)「避難行動要支援者の避難行動支援に関すること」内閣府 避難行動要支援者の避難行動支援
- 内閣府「避難行動要支援者の避難行動支援に関する取組指針」(令和3年5月改定)取組指針(PDF)
- 内閣府「福祉避難所の確保・運営ガイドライン」(令和3年5月改定)福祉避難所の確保・運営ガイドライン(PDF)
- 江戸川区「在宅人工呼吸器使用者自家発電装置等給付事業」江戸川区 在宅人工呼吸器使用者自家発電装置等給付事業
- 板橋区「在宅人工呼吸器使用者非常用電源装置給付事業」板橋区 在宅人工呼吸器使用者非常用電源装置給付事業
- 墨田区「救急医療情報キットを配布しています」墨田区 救急医療情報キット
よくある疑問
どこの市区町村にもこの制度がありますか。
いくらもらえますか。
どの機器を選べばよいですか。
先に買ってから申請できますか。
家族の生活のための電源も対象になりますか。
災害時に助けが要る人の制度ガイドの記事一覧
一次情報の確認先
本ページの前提となる制度・統計は、以下の公的機関等の公表情報で確認できます。最新の内容は必ず各機関の公式ページでご確認ください。