器具より、取り付ける人のほうが問題になる
家具の固定は、避難する前の段階の話です。倒れた家具に挟まれれば、そもそも逃げられません。多くの市区町村が助成を用意していますが、高齢の世帯にとっての壁は、器具の値段よりも「誰が取り付けるか」です。横浜市は「家具転倒防止器具の取付を無償で代行します」という仕組みを置いています。
器具代と取付、2つの助成
実際に確認できた2市区の制度
| 板橋区 | 横浜市 | |
|---|---|---|
| 助成の中身 | 調査費用 9,000円/器具及び取付工事費用 13,000円 | 重点対策地域は器具代を全額補助/その他地域は一部補助(1,200〜1,700円の申請者負担) |
| 取付 | 取付工事費用が助成に含まれる | 無償で代行(先着300件、要件あり) |
| 個数 | — | 取付代行できる家具は1つまで |
| 上限超過 | 自己負担 | — |
| 申請 | 窓口・郵送・電子申請 | 電子申請・郵送・FAX・E-mail |
出典:板橋区・横浜市の公表内容(2026年9月10日確認)。これは2市区の例です。制度の有無・対象・金額は市区町村ごとに異なります。
板橋区が「調査費用」を分けて置いているのが目を引きます。どの家具をどう固定するかを見てもらう工程に、費用がかかるという設計です。壁の下地がどこにあるかは、外からは分かりません。
対象になる世帯
板橋区は対象をこう書いています。
65歳以上の高齢者のみの世帯、もしくは、その世帯の同居者が18歳以下のお子さんであるときは対象となります
出典:板橋区「高齢者家具転倒防止器具取付費用の助成」
障がい者のみの世帯も対象に含まれています。
「同居者が18歳以下の子どもなら対象」という書き方が実務的です。大人が同居していれば自分で取り付けられるだろう、という前提の裏返しです。同居の家族がいても、その人が高齢である、遠方に単身赴任している、といった事情は窓口で伝えてください。
上限がある
板橋区の上限(公表内容から)
| 費目 | 上限 |
|---|---|
| 調査費用 | 9,000円 |
| 器具及び取付工事費用 | 13,000円 |
出典:板橋区の公表内容。上限を超える分は自己負担です。また、既に取り付けられた器具や工事代は対象外とされています。
「既に取り付けられた器具や工事代は対象外」という一文が重要です。自分で買って付けてしまうと、あとから助成は受けられません。これは空き家の除却補助や耐震補助と同じ構造で、順番を守る必要があります。
借家のとき
板橋区は借家の場合に「家屋所有者承諾書」の提出が必要としています。
壁にネジを打つ工事になるためです。賃貸住宅では、貸主の承諾を先に取る必要があります。突っ張り棒式やマット式なら壁に穴を開けずに済みますが、固定の強さは方式によって違うので、調査のときに相談してください。
どこから固定するか
予算にも個数にも上限があるので、優先順位を決めることになります。横浜市は「取付代行できる家具は1つまでとします」としています。
優先して固定する場所の考え方
| 場所 | 理由 |
|---|---|
| 寝ている場所の周り | 寝ているときは逃げられない。倒れてくる方向にあるものから |
| 出入口をふさぐ位置の家具 | 倒れると部屋から出られなくなる |
| 廊下・玄関までの動線上 | 避難の通り道 |
| 背の高い家具 | 本棚・食器棚・タンス |
| ガラスが入っている家具 | 割れると足元が危険になる |
1つだけ固定するなら、寝ている場所の周りからです。どの家具をどう固定するかは、調査で見てもらってください。
そもそも家具の数を減らすという方法もあります。使っていない家具を処分すれば、固定する対象が減り、退路も広がります。→ 家族が先にやること
状況ごとの考え方
すでに自分で取り付けた
同居の家族がいる
賃貸に住んでいる
何個も固定したい
壁のどこに下地があるか分からない
家具が多すぎる
よくある取りこぼし
先に取り付けてしまった
板橋区は既に取り付けた器具・工事代を対象外としています。申請が先です。
賃貸で承諾を取っていなかった
家屋所有者承諾書が要ります。
上限を超えた分を見込んでいなかった
板橋区は調査9,000円・器具と取付13,000円が上限で、超過分は自己負担です。
申請期間を過ぎた
横浜市は「令和8年6月1日〜令和9年1月31日(消印有効)」と期間を区切っています。
寝室以外から固定した
寝ているときがいちばん逃げられません。優先順位を決めてください。
確認の順序
固定を進める
- 市区町村に助成があるか聞く防災担当課か高齢福祉担当課。
- 対象になる世帯か確認する年齢・同居の状況。
- 賃貸なら貸主に相談する承諾書が要ることがあります。
- 申請してから取り付ける先に付けると対象外になります。
- 優先順位を決める寝ている場所の周りから。
- 家具を減らすことも考える→ 家族が先にやること
- 避難の登録も進める→ 避難行動要支援者名簿
→ 4つの制度の全体像/避難行動要支援者名簿/個別避難計画/福祉避難所と直接避難/電源が要るときの給付/救急医療情報キット/家族が先にやること
確認に使った一次情報
- 板橋区「高齢者家具転倒防止器具取付費用の助成」板橋区 高齢者家具転倒防止器具取付費用の助成
- 横浜市「家具転倒防止器具を設置して地震から身を守りましょう」横浜市 家具転倒防止器具の設置助成
よくある疑問
助成はどの市区町村にもありますか。
いくら助成されますか。
自分で買って付けてもよいですか。
賃貸でも使えますか。
どの家具から固定すればよいですか。
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一次情報の確認先
本ページの前提となる制度・統計は、以下の公的機関等の公表情報で確認できます。最新の内容は必ず各機関の公式ページでご確認ください。