救急隊が最初に開けるのは冷蔵庫
一人でいるときに倒れたら、救急隊は本人から話を聞けません。そのために、持病・薬・連絡先を書いた紙を専用の容器に入れ、冷蔵庫に保管しておく仕組みがあります。「救急医療情報キット」と呼ばれ、多くの市区町村や社会福祉協議会が無料で配っています。玄関のドアと冷蔵庫にステッカーを貼って、救急隊に場所を知らせます。
キットの中身
墨田区の例では、次のものがセットになっています。
救急医療情報キットの内容(墨田区の記載)
| もの | 内容 |
|---|---|
| 専用保管容器 | 1個 |
| ステッカー | 2枚(玄関ドア内側貼付用、冷蔵庫ドア貼付用) |
| 救急医療情報シート | 1枚 |
出典:墨田区「救急医療情報キットを配布しています」。中身と名称は市区町村によって異なります。
ステッカーが2枚あるのが要点です。玄関のドアの内側に1枚。これで、入ってきた救急隊が「この家にはキットがある」と分かります。冷蔵庫に1枚。これで、どの冷蔵庫かが分かります。
なぜ冷蔵庫なのか
どの家にも必ずあり、置き場所がほぼ決まっているからです。
冷蔵庫が選ばれている理由
- ほぼすべての家にある
- 台所という、だいたい決まった場所にある
- 大きくて見つけやすい
- 倒れたり燃えたりしにくい
- 本人が動けなくても、救急隊が自分で開けられる
引き出しや棚では、家ごとに場所が違って探せません。「全国どこの家でも同じ場所」を作るための工夫です。
誰がもらえるか
墨田区は対象を「健康に不安を抱えている方」としています。市区町村によって対象の書き方は違い、「65歳以上の一人暮らし」「要介護認定を受けている方」「障害のある方」などに限っている場合もあります。
配布の場所(市区町村により異なる)
| 場所 | 備考 |
|---|---|
| 高齢福祉担当課の窓口 | 市区町村の本庁・出張所 |
| 地域包括支援センター | 高齢者の相談窓口 |
| 社会福祉協議会 | 市区町村により |
| 調剤薬局 | 墨田区は「区が委託している区内の調剤薬局」で配布 |
| 高齢者みまもり相談室 | 墨田区の例 |
出典:墨田区の記載および各市区町村の公表内容から整理。どこでもらえるかは市区町村に確認してください。
何を書くか
救急医療情報シートに書くのが通常の項目
- 氏名・生年月日・血液型
- かかりつけ医(医療機関名・診療科・電話番号)
- 持病・既往歴
- 飲んでいる薬(お薬手帳のコピーを一緒に入れる)
- アレルギー
- 緊急連絡先(家族の氏名・続柄・電話番号)
- 介護保険の情報(ケアマネジャーの連絡先)
- 本人の写真(求める市区町村がある)
お薬手帳のコピーを入れておくのが、実務では効きます。薬の名前を正確に書くのは難しいですが、コピーなら間違いません。
保険証・診察券のコピーを入れる欄がある市区町村もあります。ただし原本は入れないでください。必要なときに手元にないと困ります。
古い情報は危ない
これがいちばん大事な注意点です。薬が変わったのにシートが古いままだと、かえって間違いのもとになります。
更新のきっかけを決めておく
- 薬が変わったときいちばん重要。お薬手帳のコピーを差し替える。
- 入院・退院したときかかりつけ医や病状が変わることがあります。
- ケアマネジャーが変わったとき連絡先を書き換える。
- 家族の連絡先が変わったとき携帯番号の変更を忘れがちです。
- 年に1回、日を決めて見直す誕生日など、覚えやすい日に。
- 見直したら日付を書くいつ時点の情報かが分かるように。
状況ごとの考え方
親が一人で住んでいる
同居しているが日中は一人になる
キットが配布されていない市区町村
認知症がある
災害のときにも使えるか
引っ越した
よくある取りこぼし
情報が古いまま
薬が変わったのに更新していないと、かえって危険です。
ステッカーを貼っていない
救急隊はステッカーで存在を知ります。玄関ドアの内側と冷蔵庫に。
保険証の原本を入れた
コピーにしてください。原本が手元にないと困ります。
家族が場所を知らなかった
離れて暮らす家族にも「冷蔵庫にキットがある」と伝えておく。
もらってきただけで中身を書いていない
容器だけあっても意味がありません。
確認の順序
キットを整える
- 市区町村に配布があるか聞く高齢福祉担当課・地域包括支援センター。
- もらってくる無料のことがほとんどです。
- シートを書くお薬手帳のコピーも入れる。
- 冷蔵庫に入れるドアポケットなど決まった場所に。
- ステッカーを貼る玄関ドアの内側と冷蔵庫。
- 家族に伝える場所と中身。
- 更新の日を決める薬が変わったときと、年1回。
→ 4つの制度の全体像/避難行動要支援者名簿/個別避難計画/福祉避難所と直接避難/電源が要るときの給付/救急医療情報キット/家族が先にやること
確認に使った一次情報
- 内閣府(防災担当)「避難行動要支援者の避難行動支援に関すること」内閣府 避難行動要支援者の避難行動支援
- 内閣府「避難行動要支援者の避難行動支援に関する取組指針」(令和3年5月改定)取組指針(PDF)
- 内閣府「福祉避難所の確保・運営ガイドライン」(令和3年5月改定)福祉避難所の確保・運営ガイドライン(PDF)
- 江戸川区「在宅人工呼吸器使用者自家発電装置等給付事業」江戸川区 在宅人工呼吸器使用者自家発電装置等給付事業
- 板橋区「在宅人工呼吸器使用者非常用電源装置給付事業」板橋区 在宅人工呼吸器使用者非常用電源装置給付事業
- 墨田区「救急医療情報キットを配布しています」墨田区 救急医療情報キット
よくある疑問
キットは無料ですか。
配布していない市区町村ではどうすればよいですか。
誰でももらえますか。
何を入れておけばよいですか。
災害のときにも役に立ちますか。
災害時に助けが要る人の制度ガイドの記事一覧
一次情報の確認先
本ページの前提となる制度・統計は、以下の公的機関等の公表情報で確認できます。最新の内容は必ず各機関の公式ページでご確認ください。