遠くにいてもできることがある
離れて暮らしていると、災害のときにすぐには行けません。だからこそ、先にやっておけることがあります。大きく3つ。①制度への登録状況を確認する ②家の中の退路を確保する ③連絡の手順を決める。どれも平常時にしかできません。
3つの柱
離れて暮らす家族ができること
| 柱 | 内容 | できる時期 |
|---|---|---|
| ①登録状況の確認 | 名簿・個別避難計画・福祉避難所・給付事業 | 平常時のみ |
| ②家の中の退路 | 玄関までの動線、家具の転倒、物の量 | 帰省したとき |
| ③連絡の手順 | 誰から誰へ、どの順で、つながらないときどうするか | 平常時のみ |
災害が起きてからでは、どれも間に合いません。
登録状況を確認する
帰省したときに聞くこと・確認すること
- 避難行動要支援者名簿に登録しているか(同意しているか)→ 避難行動要支援者名簿
- 個別避難計画はあるか(誰が支援者になっているか)→ 個別避難計画
- 避難先はどこか(一般の避難所か、福祉避難所か)→ 福祉避難所と直接避難
- ハザードマップ上で家がどの区域にあるか
- 電源が必要な機器を使っているか→ 電源が要るときの給付
- 救急医療情報キットはあるか、中身は最新か→ 救急医療情報キット
- ケアマネジャー・地域包括支援センターの連絡先
- 連絡先として自分(家族)が登録されているか
最後の項目が抜けていることがよくあります。名簿にも計画にも、離れて暮らす家族の連絡先を入れられるか、窓口に確認してください。
家の中の退路
制度の話とは別に、家の中の問題があります。物が多いと、逃げられません。
家の中で見るところ
| 場所 | 見るもの |
|---|---|
| 玄関までの廊下 | 床に物が置かれていないか。杖や車いすが通れる幅があるか |
| 寝室から出口まで | 夜、暗い中で通れるか |
| 寝ている場所の周り | 倒れてくる家具はないか |
| 階段 | 手すりはあるか。物が置かれていないか |
| 玄関 | ドアの前に物が積まれていないか |
| 家具 | 固定されているか |
倒れてこなくても、床に物があるだけで避難の速度が落ちます。自力で歩くのが難しい人ほど、この差が効きます。
高齢の親の家は、長年の物が積み上がっていることがあります。全部を片付けようとすると、本人と揉めて進みません。「玄関までの1本の道」だけを空ける、という進め方があります。
玄関までの道を、まず1本空ける
運び出しから対応する不用品回収があります。全部ではなく、避難経路になる場所から片付けるという進め方ができます。
- k
- u
- r
- a
- s
- h
- i
連絡の手順
先に決めておくこと
- 誰が最初に連絡するか家族が複数いると、全員が同時にかけて回線が混みます。役割を決める。
- つながらないときの代替災害用伝言ダイヤル(171)、災害用伝言板、SNS。使い方を一度試しておく。
- 近所の誰に頼めるか名前と連絡先を控えておく。民生委員、自治会、隣家。
- ケアマネジャーの連絡先介護保険を使っているなら、事業所にも安否確認の仕組みがあることがあります。
- 行けない場合にどうするか遠方から誰に何を頼むか。
- 集合場所を決める避難先が複数考えられる場合、どこを第一にするか。
「連絡がつかない」ときにどうするかを決めておくのが要点です。災害時は電話がつながりません。つながらないことを前提に手順を作ってください。
本人にどう切り出すか
「名簿に登録して」と言っても、断られることがあります。「近所に迷惑をかけたくない」「まだ大丈夫」という気持ちがあるためです。
切り出し方の例
- 「迷惑をかけないための段取り」だと伝える(助けを求める登録ではなく、手順を決めておく話)
- 自分(家族)が安心したいから、と主語を変える
- ハザードマップを一緒に見る(事実から入る)
- ケアマネジャーから話してもらう(第三者のほうが受け入れやすいことがある)
- 全部でなく1つだけ進める(キットだけ、名簿だけ)
- 帰省のついでに窓口へ一緒に行く
状況ごとの考え方
親が制度の話を嫌がる
片付けを嫌がる
兄弟の間で意見が分かれる
遠方でなかなか帰れない
ケアマネジャーがついている
親が一人で、近所づきあいも少ない
よくある取りこぼし
登録しているつもりで、していなかった
数年前の記憶のまま、というのがよくあります。窓口で確認してください。
家族の連絡先が登録されていなかった
名簿にも計画にも、連絡先を入れられるか確認を。
片付けを全部やろうとして揉めた
玄関までの1本から。
連絡手段を1つしか用意していなかった
電話はつながりません。伝言ダイヤルやSNSを一度試しておく。
本人の意向を確認せずに進めた
名簿の同意は本人のものです。
確認の順序
帰省したときにやること
- ハザードマップで家の位置を見る一緒に見る。
- 登録状況を聞く名簿・計画・避難先。
- 市区町村の窓口に一緒に行くできれば同行する。
- 救急医療情報キットを整える→ 救急医療情報キット
- 玄関までの道を空ける1本だけでよい。
- 家具の固定を確認する寝ている場所の周りから。
- 連絡の手順を紙に書く本人にも渡す。
→ 4つの制度の全体像/避難行動要支援者名簿/個別避難計画/福祉避難所と直接避難/電源が要るときの給付/救急医療情報キット/家族が先にやること
確認に使った一次情報
- 内閣府(防災担当)「避難行動要支援者の避難行動支援に関すること」内閣府 避難行動要支援者の避難行動支援
- 内閣府「避難行動要支援者の避難行動支援に関する取組指針」(令和3年5月改定)取組指針(PDF)
- 内閣府「福祉避難所の確保・運営ガイドライン」(令和3年5月改定)福祉避難所の確保・運営ガイドライン(PDF)
- 江戸川区「在宅人工呼吸器使用者自家発電装置等給付事業」江戸川区 在宅人工呼吸器使用者自家発電装置等給付事業
- 板橋区「在宅人工呼吸器使用者非常用電源装置給付事業」板橋区 在宅人工呼吸器使用者非常用電源装置給付事業
- 墨田区「救急医療情報キットを配布しています」墨田区 救急医療情報キット
よくある疑問
家族が代わりに名簿登録できますか。
遠方からでも登録状況を確認できますか。
親が拒否したらどうすればよいですか。
家具の固定は誰に頼めますか。
災害が起きたあとの手続きも知りたいです。
災害時に助けが要る人の制度ガイドの記事一覧
一次情報の確認先
本ページの前提となる制度・統計は、以下の公的機関等の公表情報で確認できます。最新の内容は必ず各機関の公式ページでご確認ください。