返すものと、返さなくてよいものがある
災害のあとに使えるお金の制度は、いくつもあります。大事なのは「返さなくてよいもの(支援金・弔慰金・見舞金)」と「返すもの(貸付)」と「現物で受けるもの(住宅の応急修理)」が混ざっていることです。性質が違うので、順番と組み合わせを考える必要があります。内閣府の「被災者支援に関する各種制度の概要」にもとづいて整理します。
性質で分ける
災害後のお金の制度(内閣府「被災者支援に関する各種制度の概要」令和8年6月1日現在)
| 制度 | 対象 | 金額 | 窓口 |
|---|---|---|---|
| 被災者生活再建支援制度 | 住宅が全壊した世帯/半壊・敷地被害で解体した世帯など | 基礎支援金50〜200万円+加算支援金25〜300万円 | 都道府県、市町村 |
| 災害弔慰金 | 災害により死亡した方のご遺族 | 生計維持者:500万円以下/その他の者:250万円以下 | 市町村 |
| 災害障害見舞金 | 災害による負傷・疾病で重い障害を受けた方 | 生計維持者:250万円以下/その他の者:125万円以下 | 市町村 |
| 災害援護資金(貸付) | 負傷または住居・家財の損害を受けた世帯主 | 150万円〜350万円 | 市町村 |
| 生活福祉資金(貸付) | 低所得世帯、障害者世帯または高齢者世帯 | 緊急小口資金:10万円以内/福祉費:150万円(目安) | 都道府県・市町村社会福祉協議会 |
| 住宅の応急修理(現物) | 中規模半壊・半壊の世帯/大規模補修が必要な世帯 | 大規模半壊等:75万7千円以内/準半壊:36万7千円以内 | 都道府県、災害救助法適用市町村 |
出典:内閣府「被災者支援に関する各種制度の概要」(令和8年6月1日現在)。金額は上限であり、被害の程度や世帯の状況で変わります。また、その災害に適用されるかどうかは災害ごとに決まります。
被災者生活再建支援金
内閣府の資料によれば、この制度は「10世帯以上の住宅全壊被害が発生した市町村等」に適用されます。つまり、被害が小規模な災害では発動しません。
対象になる世帯(内閣府の記載)
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 全壊 | 住宅が「全壊」した世帯 |
| 解体 | 住宅が半壊、又は住宅の敷地に被害が生じ、その住宅をやむを得ず解体した世帯 |
| 長期避難 | 災害による危険な状態が継続し、住宅に居住不能な状態が長期間継続している世帯 |
| 大規模半壊 | 損害割合40%台 |
| 中規模半壊 | 損害割合30%台 |
出典:内閣府「被災者生活再建支援制度の概要」。半壊でも「やむを得ず解体した」場合は対象になりうる点が重要です。
支援金は2階建てです。基礎支援金が住宅の被害程度に応じて50〜200万円、加算支援金が再建方法(建設・購入/補修/賃借)に応じて25〜300万円。そして内閣府は次のように注記しています。
(※世帯人数が1人の場合は、各該当欄の金額の3/4の額)
出典:内閣府「被災者生活再建支援制度の概要」
申請期間(内閣府の記載)
| 支援金 | 期間 |
|---|---|
| 基礎支援金 | 災害発生日から13月以内 |
| 加算支援金 | 災害発生日から37月以内 |
出典:内閣府「被災者生活再建支援制度の概要」。延長されることがあります。市区町村の案内を確認してください。
加算支援金の期間が長いのは、住まいを再建する方法が決まるまで時間がかかるからです。先に基礎支援金だけ申請しておく、という進め方ができます。
弔慰金と見舞金
これは人に対する制度です。建物の被害とは別に判断されます。
窓口はいずれも市町村
- 災害弔慰金=災害により死亡した方のご遺族。生計維持者500万円以下、その他の者250万円以下
- 災害障害見舞金=災害による負傷・疾病で重い障害を受けた方。生計維持者250万円以下、その他の者125万円以下
「生計維持者」かどうかで額が変わります。金額はいずれも上限で、実際の額は市町村が定めます。
貸付
貸付は返します。ここを支援金と混同しないでください。
2つの貸付(内閣府の記載)
| 制度 | 対象 | 金額 | 窓口 |
|---|---|---|---|
| 災害援護資金 | 負傷または住居・家財の損害を受けた世帯主 | 150万円〜350万円 | 市町村 |
| 生活福祉資金 | 低所得世帯、障害者世帯または高齢者世帯 | 緊急小口資金:10万円以内/福祉費:150万円(目安) | 社会福祉協議会 |
出典:内閣府「被災者支援に関する各種制度の概要」(令和8年6月1日現在)。所得制限や償還の条件があります。窓口で確認してください。
急いで現金が要るときは「緊急小口資金」、住まいの再建にまとまった額が要るときは「災害援護資金」という使い分けになります。返済の負担を含めて考えてください。
住宅の応急修理
これはお金を受け取る制度ではありません。内閣府は制度名を「日常生活に必要な最小限度の部分の修理」としています。自治体が業者に修理を発注し、費用の一部を負担する形です。
住宅の応急修理(内閣府の記載)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 中規模半壊・半壊の世帯/大規模補修が必要な世帯 |
| 金額 | 大規模半壊等:75万7千円以内/準半壊:36万7千円以内 |
| 窓口 | 都道府県、災害救助法適用市町村 |
出典:内閣府「被災者支援に関する各種制度の概要」(令和8年6月1日現在)。応急修理を受けると、応急仮設住宅の利用に制限がかかることがあります。どちらを選ぶかは窓口で確認してください。
状況ごとの考え方
半壊だが、住み続けられそうにない
再建の方法がまだ決まらない
一人暮らしだった
すぐに現金が要る
修理して住み続けたい
家族が亡くなった
よくある取りこぼし
貸付を支援金だと思っていた
災害援護資金と生活福祉資金は返します。
申請期間を過ぎた
基礎支援金は13月以内、加算支援金は37月以内(内閣府の記載)。
半壊だからと諦めた
「やむを得ず解体した世帯」は対象になりえます。解体前に窓口へ。
応急修理と仮設住宅の関係を知らなかった
組み合わせに制限があることがあります。先に窓口で確認してください。
制度が適用されたか確認しなかった
被災者生活再建支援制度は「10世帯以上の住宅全壊被害が発生した市町村等」に適用されます。その災害に適用されたかどうかを窓口で確認してください。
確認の順序
お金の制度をたどる
- り災証明書の区分を確認するほとんどの制度が区分で決まります。
- その災害に何が適用されたか聞く市区町村の窓口へ。
- 返すものと返さないものを分ける支援金・弔慰金・見舞金は返さない。貸付は返す。
- 申請期間を確認する基礎支援金13月、加算支援金37月(内閣府の記載)。
- 先に申請できるものを出す基礎支援金は再建方法が決まる前でも申請できます。
- 税と保険料の減免も申請する→ 税と保険料の減免
→ り災証明書から始まる/り災証明書と被災証明書/被害認定と再調査/災害ごみと手数料の減免/公費解体と自費解体/使えるお金の制度/税と保険料の減免
確認に使った一次情報
- 内閣府(防災担当)「災害に係る住家の被害認定」https://www.bousai.go.jp/taisaku/pdf/r203kaitei.pdf
- 内閣府「被害認定に関するQ&A」https://www.bousai.go.jp/taisaku/pdf/higai_qa.pdf
- 内閣府「被災者支援に関する各種制度の概要」(令和8年6月1日現在)内閣府 被災者支援に関する各種制度の概要
- 内閣府「被災者生活再建支援制度の概要」内閣府 被災者生活再建支援制度の概要
- 妙高市「罹災証明書と被災証明書について」妙高市 罹災証明書と被災証明書について
- 平塚市「火災や風水害等により家庭から生じた一般廃棄物の処理手数料の減免について」平塚市 一般廃棄物の処理手数料の減免
- 石川県「被災建物の解体・撤去(公費解体)について」石川県 被災建物の解体・撤去(公費解体)
- 石川県「被災建物の自費解体(解体費用の立替えと払戻し)について」石川県 被災建物の自費解体
よくある疑問
被災者生活再建支援金はいくらもらえますか。
一部損壊でも何か使えますか。
支援金と保険金は両方受け取れますか。
災害援護資金は誰でも借りられますか。
応急修理を受けると仮設住宅に入れないと聞きました。
災害のあとの手続きガイドの記事一覧
一次情報の確認先
本ページの前提となる制度・統計は、以下の公的機関等の公表情報で確認できます。最新の内容は必ず各機関の公式ページでご確認ください。