換価の猶予の6か月を過ぎても、まだ道がある
換価の猶予は納期限から6か月以内です。過ぎたら終わり、ではありません。横浜市は徴収猶予の申請期限を「猶予を受けようとする期間より前(申請の期限はありません)」と書いています。ただし、そのかわりに理由が限定されます。災害・盗難、病気・負傷、事業の廃止・休止、事業の著しい損失。この4つと、賦課決定が遅れた場合です。
5つの理由と申請期限
猶予該当要件と申請の期限(横浜市の記載から)
| 理由 | 申請期限 |
|---|---|
| 「財産について災害を受け、又は盗難にあったこと」 | 猶予を受けようとする期間より前(申請の期限はありません) |
| 「納税者又はその者と生計を一にする親族などが病気にかかり又は負傷したこと」 | 同上 |
| 「事業を廃止し、又は休止したこと」 | 同上 |
| 「事業について著しい損失を受けたこと」 | 同上 |
| 「本来の法定納期限から1年以上経過した後に、賦課決定の遅延等により納付、又は納入すべき税額が確定したこと」 | 本来の期限から1年以上経過した後に納付すべき税額が確定した市税の納期限まで |
出典:横浜市「市税の徴収猶予制度」(2026年9月10日確認)。要件と期限は市区町村ごとに異なります。
2つ目に注目してください。「納税者又はその者と生計を一にする親族などが病気にかかり又は負傷したこと」。本人ではなく、生計を一にする親族の病気・けがも理由になります。家族の入院で費用がかさんだ場合が想定されます。
「事業を廃止し、又は休止したこと」も理由です。廃業したあとに前年分の税が来る、という状況はここに当たりえます。→ 住民税の減免
「申請の期限はありません」の意味
横浜市の表は、5つのうち4つについて「猶予を受けようとする期間より前(申請の期限はありません)」としています。
これは「いつでもよい」という意味ではありません。「猶予を受けようとする期間より前」と書かれています。つまり、これから猶予してほしい期間について、その期間が始まる前に出す、ということです。すでに過ぎた期間をさかのぼって猶予してもらうものではありません。
納期限から6か月という締切が無い、という点が換価の猶予との違いです。
理由を証する書類が要る
横浜市は、徴収猶予の提出書類にこれを加えています。
徴収猶予で追加になる書類(横浜市の記載)
- 「災害などの事実を証する書類(徴収猶予の場合)」
- 例として挙げられているもの:「罹災証明書、医療費の領収書、廃業届、決算書など」
出典:横浜市「徴収猶予・換価の猶予の申請方法」(2026年9月10日確認)。
換価の猶予の書類一覧には、この項目がありません。徴収猶予は理由が限定されているぶん、その理由を書類で示す必要があります。
理由と、それを示す書類の例
| 理由 | 横浜市が例として挙げている書類 |
|---|---|
| 災害 | 罹災証明書 |
| 病気・負傷 | 医療費の領収書 |
| 事業の廃止 | 廃業届 |
| 事業の著しい損失 | 決算書 |
出典:横浜市「徴収猶予・換価の猶予の申請方法」(2026年9月10日確認)。「など」とされており、これに限られません。→ り災証明書と被災者支援の手続き
認められると何が起きるか
徴収猶予が認められたとき(横浜市の記載)
- 「1年を限度に市税の徴収が猶予されます。」
- 「新たな督促や差押え、換価などの滞納処分が行われません。」
- 「すでに差押えを受けている場合は、申請により差押えが解除される場合があります。」
- 「徴収猶予が認められた期間中の延滞金の全部又は一部が免除されます。」
出典:横浜市「市税の徴収猶予制度」(2026年9月10日確認)。
換価の猶予より有利になりうる点
2つを並べると
| 徴収猶予 | 換価の猶予 | |
|---|---|---|
| 申請期限 | 4つの理由については期限なし | 納期限から6か月以内 |
| 延滞金 | 「全部又は一部が免除」 | 「一部が免除」 |
| 滞納処分 | 「新たな督促や差押え、換価などの滞納処分が行われません。」 | 「換価(売却)が猶予されます。」 |
| ほかの滞納 | 記載なし | 「すでに滞納している市税がある場合等には認められません。」 |
| 理由 | 5つに限定される | 「事業の継続又は生活の維持」 |
出典:横浜市「市税の徴収猶予制度」「換価の猶予制度」(2026年9月10日確認)。
要件に当てはまるなら、徴収猶予のほうを先に検討する価値があります。延滞金が「全部」免除されうること、督促そのものが行われないこと、ほかの滞納があっても記載上は排除されていないこと。この3点で違います。
ただし理由は5つに限定されます。当てはまらない場合は換価の猶予です。→ 換価の猶予
申請の進め方
横浜市の記載から整理した流れ
- 5つの理由のどれに当たるかを整理するここが徴収猶予の入口です。
- 理由を証する書類を集める罹災証明書・医療費の領収書・廃業届・決算書など。
- 徴収猶予申請書を用意する自治体のサイトからダウンロードできます。
- 猶予を受けたい金額を決める100万円を境に出す書類が変わります。
- 財産と収支の資料を作る資産・負債・収支状況・納付計画を書きます。
- 担保の要否を確認する100万円以下、または3か月未満なら不要とされています。
- 窓口・郵送・eLTAXで出す許可・不許可が通知されます。
状況ごとの考え方
家族が入院して費用がかさんだ
廃業したあとに税の通知が来た
災害で被害を受けた
赤字が続いている
5つのどれにも当てはまらない
あとから税額が確定した
よくある取りこぼし
「期限がない」を「いつでもよい」と読んだ
「猶予を受けようとする期間より前」とされています。過ぎた期間をさかのぼるものではありません。
本人の病気しか理由にならないと思った
「生計を一にする親族など」も含まれます。
理由を証する書類を用意しなかった
徴収猶予では、換価の猶予と違ってこれが要ります。
賦課決定の遅延も期限がないと思った
これだけは「その市税の納期限まで」です。
先に換価の猶予を出した
要件に当てはまるなら徴収猶予のほうが延滞金の扱いが有利になりえます。
減免を確認しなかった
税額そのものを減らすのは減免です。→ 減免・免除の申請
→ 徴収猶予と換価の猶予は別のもの/換価の猶予(納期限から6か月以内)/徴収猶予(申請の期限がないものがある)/100万円で出す書類が変わる/担保が要るとき・要らないとき/国税の場合(税務署・e-Tax)
ほかのクラスタで扱っているもの:減免・免除の申請/住民税の減免/被災したときの税と保険料の減免
確認に使った一次情報
- 国税庁「G-9 換価の猶予の申請手続」国税庁 換価の猶予の申請手続
- 国税庁「猶予の申請の手引」国税庁 猶予の申請の手引
- 横浜市「換価の猶予制度」横浜市 換価の猶予制度
- 横浜市「市税の徴収猶予制度」横浜市 市税の徴収猶予制度
- 横浜市「徴収猶予・換価の猶予の申請方法」横浜市 猶予の申請方法
よくある疑問
申請の期限は本当にないのですか。
どんな理由が認められますか。
家族の病気でも申請できますか。
換価の猶予とどちらが有利ですか。
どんな書類が要りますか。
税の猶予の申請ガイドの記事一覧
一次情報の確認先
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